屋根載せ太陽光は自家消費優先なら他人に負担を押し付けない
疑問3:太陽光はどれもダメ! もちろん住宅の屋根載せも論外‼
メガソーラー問題のせいで、太陽光全般、いや再エネ全般に、ベッタリとダークなイメージがついてしまいました。しかし、太陽光の問題を、メガソーラーと住宅屋根載せとで一緒くたに議論するのは適切ではありません。そもそも、FITの買取金額に占める、住宅用の10kW以下の太陽光の割合は全体の1割以下とわずか(図表4参照)。住宅の屋根載せ太陽光は、再エネ賦課金高騰の主犯ではないのです。
かつては住宅の屋根載せも、FIT買取の売電単価が高く設定されていたため(2012年には42円/kWh)、できるだけ大きな太陽光パネルを載せて目一杯発電して、系統に売電しまくるのが一番オトクでした。
しかし、結局は売電狙いなので、メガソーラーと同じように、太陽光を載せていない人に負担を押し付けてしまうものでした。結局、メガソーラー(①)でも売電狙いの屋根載せ(②)でも、売電メインのままでは太陽光を載せる人と載せない人の間の不公平を解決できないのです。
現在では売電単価が引き下げられたので(2022年度17円/kWh)、むやみに売電するのではなく、発電した分を自家消費する方が得になりました。自家消費した分だけ、系統から高い電気(約32円/kWh 前稿参照)を買わずに済むからです。自家消費の割合を増やすのに一番強力なのは昼間の電気を貯めて夜に使える蓄電池ですが、昼間沸き上げ型のハイブリッド給湯機やエコキュートも十分に効果があります。
筆者も以前は、こうした不公平の問題が気になっていたため、必ずしも太陽光の推進に前向きではありませんでした。しかし、今では太陽光の初期コストが大幅に下がり手頃になったこと、売電単価が下がり自家消費優先にシフトしたことから、安心して広く普及させるべきと考えています。
自分の家の電気代はしっかり減らしつつ、他人にも負担を押し付けない。系統停電時にも電気が使え、系統の託送料金を負担する必要もない。大事な国土を痛める危険もない。自家消費優先の屋根載せ(③)こそ、これからの再エネ普及の主役となるべきです。