ドイツやイギリスの例を挙げるまでもなく、ヨーロッパは自然エネルギーを急速に拡大させています。ウクライナ問題で一時的に混乱はあるでしょうが、むしろ海外依存を減らし、再エネ普及を加速させる好機に転換しようとしています(「ドイツ ベルリンにおける太陽光発電設備の設置義務化に関する政策と条例」)。
日本では、海外の再エネへの取り組みに伴う課題をことさらに触れ回り、大失敗かのように吹聴する論客がいますが、海外の人たちが揃いも揃ってみんなバカなどということがありうるのでしょうか? 海外では自然エネルギーこそが、すでに安価で経済的であり、海外依存を減らして国を安らかにし、地域の雇用を増やすのに役立つ「切り札」だからこそ、多少の困難があっても推進し続けているのです。
メガソーラーと住宅屋根載せを一緒に考えてはいけない
疑問2:太陽光発電は格差を助長する。太陽光バブルで一部業者が大儲けしたのはおかしい
太陽光発電などの再エネを普及させるために、その発電分を割高な売電単価で買い取るのが固定価格買取制度(FIT)です。その割高な買取の原資は「再エネ賦課金」として電気代に加算されています。この金額は年々増加しており、電気代高騰の一因になっています(図表3)。
このことをもって、太陽光発電全般を非難する人が多いのですが、このFITによって買い取られている再エネのほとんどは発電容量10kW以上の太陽光、主に「メガソーラー」の発電分です(図表4)。2012年のFIT導入において、メガソーラーについては20年間という長期にわたり40円/kWh+税という非常に高額な買取を保証したため、「国が保証したから絶対もうかる」投資案件として太陽光バブルを引き起こしてしまいました。
メガソーラー関係では他にも、未稼働物件問題や出力制御未設置問題など、多くのトラブルがつきまといました。一部の不良業者の極めて不適切な振る舞いのせいもあり、再エネ全般のイメージは急激に悪化。なにより電気代の高騰が国民みんなを苦しめているのは大問題です。
FIT制度の検討期間がごく短く準備が十分でなかった部分はあるにしても、当時の制度設計者や太陽光発電業界は、反省を求められるのは当然です。その後にメガソーラーの売電単価は大幅に引き下げられ、現在では入札で適正に決定されることとなりました。しかし一度ついた悪いイメージは容易に剝がすことができません。
メガソーラーは昼間に大量の電気を供給できるので、地域で上手に使えばエネルギーの地産地消につながって経済の活性化に役立ちます。太陽光発電業界は地元の利益を大事にしながら、地道な普及に取り組んでいく必要があります。