がん死亡率がもっとも低い掛川市で飲まれている“特殊なお茶”
『ためしてガッテン』というNHKの生活情報番組に出演したときに、緑茶によって腸内細菌がどう変化するかという実験を行いました。
緑茶を飲む習慣のない10人に、緑茶を10日間飲み続けてもらい、飲む前と飲んだあとの腸内細菌を調べました。すると、10人とも割合は緑茶を飲んだあとにビフィズス菌が優位に増えたのです。
ところが緑茶を飲むのを1週間やめてもらったところ、ビフィズス菌は飲み始める前とほぼ同じ割合に戻りました。緑茶でなぜビフィズス菌が増えたのか。それは、優れた抗菌作用のある成分「カテキン」によって、腸内の悪玉菌が抑制されて、結果的にビフィズス菌が増えることに寄与したのでしょう。ビフィズス菌は強いので、カテキンの抗菌力には負けず、むしろ悪玉菌が抑制されたことに勢いを得て急増したのだと考えています。
がんによる死亡率が低い市区町村ランキングを見ると、上位15位のうち、7つの市区が緑茶の産地でした。特に掛川市は人口10万人以上の市区町村の中で、がんによる死亡率が日本でもっとも低く、高齢者の医療費も全国平均と比べて20%以上も低いのです。同じく『ためしてガッテン』で、掛川茶の健康効果について探りました。
掛川茶は、深蒸し製法という昔ながらの製法で作られています。茶葉ごと飲むお茶のため色が濃く、たくさんの浮遊物が含まれているのが特徴的。この浮遊物からは抗酸化作用があるβカロチン、免疫機能改善効果があるビタミンE、腸内環境を整えるクロロフィルが検出されました。これらの成分は普通の緑茶にはほとんど含まれていませんが、一般的な緑茶でも、すり鉢で粉砕すると掛川茶と同じような成分をとることが可能。緑茶を飲む習慣は手軽にできる腸活と言えそうです。
お茶にも発酵食品が存在している
お茶の中にも発酵食品があるのはご存じでしょうか。
高知県特産の「碁石茶」と徳島県特産の「阿波番茶」は、日本固有の発酵茶で、通販などでも入手可能です。碁石茶も阿波番茶も、乳酸発酵させたお茶です。緑茶は、カテキンの腸内環境改善効果がありますが、碁石茶や阿波番茶のように乳酸菌はとれません。
お茶といえば、緑や茶色のイメージですが、これらのお茶は真っ黒。しかも、碁石茶は黒い茶葉が四角く固まり、まるで碁石のよう。パッと見るとのりのようでもあります。肝心の味は、酸味があり酸っぱいのが特徴で、乳酸発酵しているのがよくわかります。風変わりと言えますが、慣れるとクセになる味です。
市販のペットボトルのお茶には着色料や香料、防腐剤といった添加物も多いので、腸内環境によいお茶を自分で煎じて飲む習慣を持ちたいものです。