がん死亡率の低い地域で共通して飲まれているものがある。十文字学園女子大学客員教授の辨野義己さんは「がんによる死亡率が低い市区町村ランキングを見ると、上位15位のうち、7つの市区が緑茶の産地になっている。とりわけがん死亡率がもっとも低い掛川市では『深蒸し製法』という特殊なお茶が愛飲されている」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、辨野義己『長寿菌まで育てる最高の腸活』(宝島社)の一部を再編集したものです。

木製のテーブルの上に暖かい緑茶
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

納豆は腸内環境を整えるだけでなく、生活習慣病にも効果がある

「腸年齢を若くしたいなら、毎日、ヨーグルトと納豆を食べましょう」

これは私がよく皆さんに言っていることです。私は、納豆は日本の味覚の代表だと思っています。外国人を自宅に泊めるときは、「納豆は食べられますか」と、必ず聞くほどです。

納豆は、日本で食べられるようになってから400年を超す長い歴史の中で、ほとんど姿を変えずに生き残っている伝統的な発酵食品です。これまでも、一度も事故がなかった食べ物なので、人体にとって安全であることは間違いなしです。その証拠に、「納豆で食中毒が起きた」という話は聞いたことがありませんよね?

納豆は、納豆菌で大豆を発酵させた食品です。納豆菌のメカニズムはまだ完全には明らかにされていませんが、大豆に含まれるオリゴ糖はビフィズス菌のエサになるので、納豆を食べると腸内でビフィズス菌が増えていきます。しかも、食べてから2~3日は「芽胞がほう(胞子)」という形で腸内にとどまるため、腸内環境を整えるうえでは大いに役立ちます。

さらに、煮た豆を発酵させて作られている納豆は、原料である大豆そのものと比べても、ビタミンB2が6倍もあり、ビタミンB6も多く含まれています。納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素には、血栓を溶かす働きがあり、納豆菌自体にも血圧の上昇を抑える効果があります。つまり、納豆には、生活習慣病のリスクを下げる効果も期待できるということです。