長寿地域の徳之島で食べられているさつまいも

徳之島は人口約2万2000人のうち、100歳を超える高齢者が50人もいるという長寿の島です。徳之島の人たちがこれほど健康長寿でいられる理由は独特の食生活。この島の食生活の中心はさつまいも(紅いも)です。

その他の長寿地域でも食物繊維の多いさつまいもを食べているという地域はとても多いのです。文教大学教授の笠岡誠一先生との共同研究では、便秘に悩む女子大生に1日300グラムのさつまいもを1週間、続いて100グラムのさつまいもを3週間にわたって食べてもらい、腸内細菌の変化を見ました。

すると半数の学生でビフィズス菌が明らかに増加していました。また、私たちのチームの研究で「さつまいもを食べたら腸内の長寿菌が増える」という論文を発表したことがあります。さつまいもは、加熱すると食物繊維が増えるという特性を持っており、蒸したさつまいもの食物繊維の量は、100グラム中に3.8グラム。これは腸によいといわれている、こんにゃくや大和いも、里いもなどのいも類の中でもダントツです。

理研にいたころは、自宅から持参した蒸しさつまいもをさいの目に切り、ヨーグルトと和えて食べていました。さつまいもは食物繊維を多く含むだけでなく、ヨーグルトに欠けているビタミン類、カリウム、ナトリウムの抑制作用もあるので、高血圧の予防にも役立ちます。

ヨーグルトとさつまいもの組み合わせが腸内環境に効果的

以前、あるテレビ番組で「ヨーグルトだけ食べた人」と「ヨーグルトとさつまいもを食べた人」の大便を比較したことがありますが、後者のほうが大便の量が多く、ビフィズス菌も多いという結果が出ました。蒸しさつまいもは電子レンジで簡単に作れます。

①さつまいもは洗って皮付きのまま、厚さ1センチ程度に切る②それを平皿に乗せ、水で濡らしたキッチンペーパーで覆いラップをかける③電子レンジ(500ワット)で3~4分間程度、加熱したら出来上がりひとくちぐらいに切り分けて、私のようにヨーグルトに混ぜたり、おかゆやごはんに混ぜたり、サラダに混ぜるなど、使い方はあなた次第です。

辨野義己『長寿菌まで育てる最高の腸活』(宝島社)
辨野義己『長寿菌まで育てる最高の腸活』(宝島社)

さつまいもには食物繊維以外にも腸によい成分が含まれています。生のさつまいもを切ると、ややネバネバとした白い液体が包丁についたり、染み出てくるのを見たことはないでしょうか。これは「ヤラピン」と呼ばれる物質で、便通を促す作用があり、食品ではさつまいもにしか含まれていません。

ヤラピンは加熱すると目には見えなくなりますが、成分は失われず効果も残ります。そのうえ、さつまいものビタミンCは、デンプンによって守られているため、熱にも強く、壊れにくいのが特徴です。

その含有量はりんごの5倍! ただでさえ食物繊維が多いのに便通を促すヤラピンパワーやビタミンCで、腸美人間違いなしです。まさにさつまいもは女性の味方のうれしい食材であり、理想的な腸内環境改善食品とも言えるでしょう。

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