おからには葉野菜と比べて2倍の食物繊維が含まれている

野菜を食べたくてもなかなかたくさん食べられない、そんな人におすすめしたいのが「おから」です。おからは豆腐を作るときに出た、いわば副産物。豆腐の原料である大豆には、不溶性食物繊維が豊富に含まれます。不溶性なので水には溶けないため、豆腐を作る過程で豆乳をこしたあとにカスが残ります。そのカスがおからです。

豆腐の乾燥粉末
写真=iStock.com/yasuhiroamano
※写真はイメージです

言ってみれば、おからは大豆の食物繊維の塊。おからに含まれる食物繊維は50グラムあたりで約5グラム。これは食物繊維が豊富なイメージの葉野菜の倍の量に相当し、ゆでた大豆や納豆よりもはるかに多いのです。

最近は、コンビニやお弁当屋さんのお惣菜コーナーでも、おからを甘辛く煮た「卯の花」など、おからを使ったお惣菜をよく見かけます。食物繊維が足りていないと思ったら、おからのおかずを一品加えるだけで一気に目標摂取量に近づけますよ。

大豆は「高食物繊維・適タンパク質・低脂肪」の食品

大豆をおすすめしたい理由は他にもあります。がん抑制に役立つ「ポリアミン」という物質があります。

このポリアミンはがん患者の尿から検出されることが多いため、がんを促進する物質だと考えられていました。しかし、機能がわかるにつれて、むしろその逆であることが判明しました。実は、ポリアミンは、がん細胞のアポトーシス(自滅)を誘導するのです。しかも、このポリアミンは腸の粘膜の保護にも役立ち、腸を若々しく保ちます。ポリアミンを増やすことで、がんにも強い、健康な大腸を手に入れることができるというわけです。

どうしたら、このポリアミンを体内で増やすことができるのでしょうか。そこで重要な物質として浮かび上がったのが、アミノ酸の一種である「アルギニン」です。

アルギニンをとると、腸内細菌によって体内でポリアミンに作り変えられます。いわばポリアミンの材料となる物質なのです。アルギニンはアミノ酸の一種なので、肉や魚、大豆のようなタンパク質の多い食品に含まれています。ただし、肉からとろうと思うと、同時に食物繊維をしっかりとらない限り腸内環境を荒らすリスクもあります。そこで最初に選ぶべきは「高食物繊維・適タンパク質・低脂肪」食品である大豆です。

私たちの研究チームが行った実験では、ビフィズス菌の一種とアルギニンを組み合わせて投与したマウスは寿命が延びました。しかも、人間の70歳くらいにあたる月齢での学習力や記憶力も優位に高くなることがわかったのです。

つまりこれは、ボケずに長生きをする効果が出たと言ってもいいでしょう。腸と脳の健康のためにもアルギニンを含む大豆は積極的にとるべきです。ちなみにアルギニンはサプリメントとしても市販されています。気になる方は、インターネットで検索してみましょう。