多くのメディアがツイッター分析に飛びついた理由

出題の記事が生まれた過程にも注目してみましょう。データの出所に分析結果を読み解くヒントがあることはよくあります。

見出しに「共同研究」とあることからわかったかもしれませんが、出題した記事は社外との共同プロジェクトの成果のひとつとして書かれたものです。

記事が対象とした2013年参院選でマス・メディアは、この選挙から解禁された「ネット選挙」を話題にしました。それまでネットを用いた選挙運動には強い規制があり、たとえば候補者は自身への投票の呼びかけすらネットではできませんでした。この規制が緩和され、候補者や支持者がネットを用いて選挙運動を行うことがある程度できるようになったとき、ネット上でどのような運動が展開されるのかということに、新聞各紙は注目していました。

このことを示すのが、新聞各紙と通信社の紙面やウェブで展開されたツイッター分析企画です。人々や政治家の呟きを分析してネット選挙運動の効果や実態を明らかにしようと、各社ともいろいろ試みていました。

さて、ここで勘の働く方は「ネットは様々なのに、なぜ各社ともツイッターの分析をしたのだろうか?」と疑問に感じたと思います。根本的な理由としては、そのオープンな性質から、他のSNSに比較してツイッターの呟きはデータが入手しやすいことが挙げられます。データがなければ分析できないので、当時流行りの“ビッグデータ”が分析できたツイッターがマス・メディア各社に重宝されたわけです。

ビッグデータを取り扱う企業の登場

それでは、この呟きのデータはどこから来たのでしょうか? もちろん、マス・メディア各社が独自に独力でデータを収集したわけではありません。“ビッグデータ”が流行語となった当時、ツイッターの呟きを収集、分析し、マーケティングなどに活用するビジネスを立ち上げた企業がいくつか出てきていました。そうした有名無名の企業がマス・メディア各社にデータを提供したのです。

当然、単にデータを販売して利益を得ることだけが各企業の目的ではないでしょう。各企業の思惑を勝手に想像すると、権威のあるマス・メディア各社にデータを使ってもらえれば、それを実績として誇示することができる点が大きかったはずです。また、提供元として記事等に自社やブランドの名前が出れば宣伝にもなります。もちろん、こうした思惑を企業が持つことは普通のことで、それが悪いということではありません。