「あみだくじ」は当たりの真上に近いところほど当たりやすい。これは統計学でわかっている事実だ。「運がいい」「ツキがある」ということも、その多くは統計学で説明が付くという。文系向けの統計学の入門書『グラフとクイズで見えなかった世界が見えてくる すごい統計学』(飛鳥新社)より、一部を紹介する――。(第2回)
「あみだくじ」で当たりを引きたい人は「真上」を選ぶ
じゃんけんだけでなく、複数で何かを決めるときに活躍するのが「あみだくじ」。これって、本当に公平なのでしょうか?
あなたが住んでいるマンションで、自治会内の役職を決めます。7人の中から、あみだくじで会長を決めることになりました。あなたは絶対にやりたくありません。そこで、問題です。
図表1のようなあみだくじのとき、「当たり」を引きたくない場合は、どこを選べばいいでしょうか?
①左……かな?
②真ん中!
③いや、右が安全だ!
①左……かな?
②真ん中!
③いや、右が安全だ!
あみだくじで7通り選べる場合には、実は「当たりの真上」は「7分の1の偶然」ではなく、それよりもずっと高い確率で当たります。
というわけで、「②」を選んだ方、残念でした。次期会長になる可能性が大です。
あみだくじの場合、横棒が少ないときは「真下付近」に落ちます。これは、「パチンコ玉の理論」と同じ。
そして横棒(クギ)が増えれば増えるほど、徐々に他の場所へも平均して落ちていくのですが、実際には数本ずつしか横棒を引かないので、引いた場所の真下あたりに落ちる可能性が非常に高いのです。
あみだくじで何かの当番などを選ぶときは、当たりたければ「当たりの真上」に近い場所を、当たりたくなければ「当たりからできるだけ遠く離れた場所」を選ぶとよいでしょう。
「運命のコイン投げ」で負けてしまう人の発想は同じ
次は、あみだくじとは別の確率の例を出してみましょう。
アニマル市で市議会議員の補欠選挙(当選は1人)があり、イヌ候補、ネコ候補が同票で並んでいたとします。そこで選挙管理委員会は1枚のコインを用意し、表か裏かを当てたほうを当選ということにしました(実際、くじやコイントスで決める例はあります)。
いざ、コイン決戦……。その前に、予備的にコイン投げをしてみると、3回連続して「表」が出ました。
さて、あなたなら、どちらに賭けるでしょうか?
①風が吹いてる気がする! またもや「表」じゃない?
②うーん、そろそろ「裏」が出るんじゃないかな?
①風が吹いてる気がする! またもや「表」じゃない?
②うーん、そろそろ「裏」が出るんじゃないかな?