統計学の役割は「株でソンをしにくい」だけではない…
「統計学を学ぶと、株でソンをしにくい」といった話は、統計学を学んですぐに役立つ(トクする)話のひとつですが、それとは別の「お役立ち」も考えてみましょう。
統計学を身につけることで役立つ、もうひとつの答えは、こうです。――エビデンス(根拠)をもって考えられるようになること。
突然ですが、『進撃の巨人』という人気アニメを知っていますか? 人を喰らう巨人が多数登場し、城壁内にわずかに取り残された人類と巨人とが壮絶なバトルを繰り広げ、物語が進むに連れて巨人の秘密、人類の置かれた謎がしだいに解き明かされていくストーリーです。
ここで兵長リヴァイという、人類最強の男が登場します(主人公ではない)。彼は誰かが決断をしなければいけないときには、決まって次のようなことをいいます。
「どちらを選択したらよいのか、その結果は誰にもわからない。俺にもわからない。しかし、これはおまえが決めることだ。せいぜい、悔いを残さないほうを選べ」
兵長リヴァイのような「鋼の決断力」を身につけるには
私もこの言葉が好きです。「決断」という言葉が強すぎれば、「判断」という言葉に置き換えてもよいでしょう。小さな判断であれば、人は毎日のようになんらかの判断をし続けているはずです。
生鮮食料品店であれば、仕入れは天候や近所のイベントの有無を見極めながら品種や数量を決めなければいけません。判断が悪ければ食品ロスを生み、結果、赤字となります。
会社なら、部下の企画書、提案書をどう処理するか。これも判断業務のひとつで、毎日のように提出されることでしょう。そのとき、「これは売れない!」と判断して「企画は不可」とする判断は、利益追求の立場としては正しかったとしても、その結果、部下のやる気を消失させる危険性もあります。
どの判断がよく、どの判断が悪いか――そんなことは誰にもわからないことなのです。
だって、未来のことは誰にもわからないし、「不可」と判断したことを、タイムマシンで過去にさかのぼって「可」と修正することもできません。