1日2400円で暮らしていかなければならない
4月にポーランドを訪問していた林芳正外相が、ウクライナからの避難民をわずか20人だけ乗せて帰国したことが話題になったが、5月24日の時点で避難民は1040人になっているとNHK(5月24日18時01分)が報じている。
この人たちはあくまでも特例措置としての一時的な受け入れであり、難民条約や入管法に基づく「正規の難民」ではない。
東京都は、ウクライナから避難してきた人々に都営住宅を最大700戸用意するとしている。すでに20組以上が入居しているという。主な家具、家電は都が設置するが、住むとなると水道代や電気代は自腹だそうだ。
近くにウクライナ語やロシア語を話せる人間はいない。スーパーで買い物をするにも一苦労だ。日本語を勉強して仕事に就こうと努力する人もいるが、難しい日本語をマスターして仕事を見つけるのは簡単ではないはずだ。
日本政府は、「一時滞在先を出たあとは、一日当たり12歳以上は2400円で、2人目以降は1600円、11歳までは1200円を支給するとしています」(NHK、4月11日17時16分)
私は1日2400円では暮らせない。このほか、医療費をどうするのか、その際、医療通訳も必要になるが、その確保はできているのかなど、多くの課題があることは素人目にも分かる。
世間が忘れた頃に特例をなくそうとするのではないか
日本政府は、いたずらに戦争を引き延ばすウクライナへの援助は即刻止めて、いま日本で困窮している避難民たちの支援に、そのカネを使うべきである。
しかし、戦争が早期に終結したとしても、すぐに帰国するのは難しいだろう。万が一、この戦争が長期化したら、日本政府は彼女、彼らをどう遇するつもりなのだろうか。
日本人は忘れやすい民族である。長期化すれば毎朝「遠い国の戦争」を報じていたワイドショーもやらなくなり、多くの日本人がウクライナ戦争のことを忘却していく。
そうなれば、世論に敏感な日本政府は、「避難民」という特例をなくそうとするのではないか。
生活の最低保障もなくなり、難民認定を受けられなければ“地獄”を見ることになるかもしれない。
だが、難民に冷酷なこの国で、難民認定を受けることは至難である。
2021年3月にスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で死亡した事件(遺族が国に対して約1億5600万円の損害賠償を求めた訴訟が6月8日、名古屋地裁で始まった)を追及している志葉玲氏は、『難民鎖国ニッポン』(かもがわ出版)の中で、
「『法の守護者』であるはずの法務省の外局、出入国在留管理庁(入管)は、本来は助けるべき存在である難民を難民として認めず、また、日本人と結婚していたり、家族が日本にいる等、この国での在留を望む外国人に対しても在留資格を与えず、こうした人々を収容施設に無期限で長期拘束(収容)している」