ロシア頼みの原油調達を転換できるか
そうした展開が予想される中で、モディ政権がどのように非同盟主義を修正し、自由資本主義圏の国々との関係強化を目指すかが注目される。IPEF参加の一方で、インドは国内のエネルギー需要を満たしインフレ圧力を抑えるために割安なロシア産原油の輸入を続けている。安全保障面でもインドはロシアから兵器を購入してきた。ただし、ロシアへの制裁強化などを背景にインドは兵器の調達チャネルの多様化を目指し始めたようだ。
一つのシナリオとして、インドはより自由資本主義圏の国々との関係強化を志向し、国内の工業化を進めて経済と社会の安定を目指そうとするだろう。それとは逆に、インドがエネルギー調達などの面でロシアへの依存から脱却することが難しい場合、クアッドの連携強化は難しくなるかもしれない。わが国はインドの工業化の推進を支援するなどして迅速に信頼関係を強化し、インドと自由資本主義陣営との関係強化に取り組むべきだ。