はなむけの言葉はオリジナルのエピソードを添えて

⑤はなむけの言葉

はなむけの言葉とは、新しい一歩を踏み出した2人を励まし、また、勇気づける言葉です。主賓の祝辞は、このはなむけの言葉の印象でスピーチの印象が決まるといってもいいでしょう。名言やことわざなどから選ぶのが一般的ですが、多くの結婚式で使い古された言葉ではなく、オリジナルのエピソードを添えて印象的な言葉を贈るのがおすすめです。

例1)「2人の新しい門出を祝して私からアドバイスを贈りたいと思います」(アドバイス等を伝える)

参考までに、前述したAさんとHさんのメッセージの要旨をご紹介します。

例2)部長職Aさんの場合

ご自身の結婚を振り返り、「専業主婦になるのが当然と思い込んでいた自分に、パートナーが働く楽しさを教えてくれて今の自分がある。パートナーは一番の理解者であり応援者。新郎新婦には、一人では実現できないようなことも一緒なら実現できる、お互いを高める存在でいてほしい」という趣旨のメッセージを贈りました。

例3)経営者のHさんの場合

社員の成長と会社の成長と重ね合わせながら感謝と想いを語りました。

「転職が当たり前のIT業界で、新卒から在籍し信頼できる幹部の一人に成長したことへの感謝。自分は社員が結婚、出産などのライフイベントを家族と幸せに迎えるに十分な給料を払えるように会社を大きくしたいというのが原動力だった。だから今こうして社員と共に新郎の結婚を祝えることが最高の喜び。お2人の幸せを願う。そして家族にも誇れる会社に一緒にしていこう」

⑥結びの言葉

結びとして改めて新郎新婦と両家ご親族にお祝いの言葉(ご両家の繁栄を祈る言葉)とお礼の言葉を述べます。

例)「大切に育てられたご家族への感謝の気持ちを胸に、これからは、共に支えあい明るい家庭を築いていってほしいと願っています。末永くお幸せに。これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。本日は本当におめでとうございます」

「一家の大黒柱に」は厳禁

「知らないと大恥をかく意外な話」が2つあります。ここは必ず押さえましょう。

・忌み言葉、重ね言葉は避ける

婚礼の席では、夫婦の別離を連想させる言葉、再婚を連想させる同じことを繰り返す重ね言葉、別れる、分かれる、切れるといった縁起の悪い言葉や不幸を連想させる言葉は「忌み言葉(いみことば)」と呼ばれ、使用しないのがマナーです。常識として分かっているつもりでも、思わず使ってしまったという失態がないよう、念のためスピーチを文章化して確認をしましょう。

主な忌み言葉・重ね言葉
・別れを連想させる言葉(例:別れる、切る、切れる、離れる、他)
・不幸・不吉な言葉(例:敗れる、破れる、悲しむ、嫌う、他)
・繰り返す重ね言葉(例:繰り返す・繰り返し・再び、他)

表現の例
× 配属直後は、営業が嫌いだったようです
○ 配属直後は、営業が好きではなかったようです
× 繰り返しとなりますが
○ 先ほど申し上げましたが
× 単身赴任で離れていても
○ 単身赴任という環境であっても

また、暗い話、年齢や身体的特徴について、政治や宗教系の話。品のない話や過去の恋愛話などの暴露話は避けましょう。

・ジェンダーバイアスがかかった表現に気を付ける

最近の傾向として、ジェンダーバイアスがかかった表現には気を付けたいところです。昔ながらの表現には、「奥さんが家庭を守る」「新郎は一家の大黒柱として頑張る」など、男女の社会や家庭での役割について固定的な観念が刷り込まれているものがあります。価値観は人それぞれですが、広く快く受け止めてもらえるように、「お互い支え合って」「お2人手を携えて」等の表現でメッセージを贈りましょう。