6月といえばジューンブライド。結婚式の「いい祝辞」と「ありきたりな祝辞」はどこで差がつくのでしょうか。話し方コンサルタントの阿隅和美さんは「つまらないスピーチの典型は、『持ち前の明るさ』『皆から愛される存在』『先輩からの信頼も厚く』等という抽象的な言葉だけが並んでいるものです。陳腐で新鮮味がないという感想を持たれてはあなたの格を下げてしまいます」といいます――。
式場のマイク
写真=iStock.com/Sushiman
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祝辞の良し悪しが自身の評判につながることも

6月といえばジューンブライド、結婚式のシーズンです。イベントや飲食に関する制限も解除され結婚パーティーも戻ってきたようで、職場の部下や同僚に祝辞を頼まれることも増えてくるのではないでしょうか。

特に、管理職、経営層ともなると会社を代表して主賓挨拶をする機会もでてきます。そもそも祝辞とは会の主催者、結婚式の場合は新郎新婦やご両家にお祝いを伝えるとともに、主役である新郎新婦を褒めたたえお祝いムードを盛り上げるものです。

学生時代の友人代表としてのスピーチなら多少滑ってもご愛嬌あいきょうで済みますが、職場や仕事関係の方が列席しているセレモニーやパーティーでは立場上そうもいかず、余計緊張するという声も聞きます。さらに祝辞の良し悪しが、あなたや会社の評判に影響を及ぼすことだってあるのです。そこで、今回は職場関係の結婚式等であなたを格上げしてくれる「心に残る祝辞のコツ」について見ていきましょう。

社内評価や社員エンゲージメントにも影響

まずは、結婚式の祝辞がもたらした職場での効果について2つの事例をご紹介します。

【事例1】部下に頼まれ結婚式で主賓として祝辞を述べた部長職のAさん(女性)。後日、列席していた社内の人たちからAさんの祝辞が胸を打つものだったとうわさが広がり、列席していない人からも、「いい祝辞だったそうですね」と声をかけられたそうです。さらにそのうわさを聞きつけたお得意様向けセミナーの担当者から、登壇を頼まれるなど結婚式の祝辞の影響に驚いたということです。

【事例2】スタートアップ企業の社長Hさん(男性)。社員の結婚パーティーで主賓として祝辞を述べたところ、新郎新婦が喜んだのはもちろん、なんと列席していた社員たちから「社長、感動しました。この会社に入って、ほんと良かったと改めて思いました」と興奮気味に言われたそうです。その後、社員とのエンゲージメントがより強くなったと感じているということです。

実は、この2人の祝辞にはある共通点があります。1つ目の共通点はしっかり準備をしたこと。お2人ともビジネスプレゼンの経験は豊富ですが、主賓としての祝辞は別もの。やはり緊張しますし、せっかくのお祝い事なので、準備の時間をとり推敲すいこうを重ねてスピーチを仕上げたのです。

一方で、失敗しがちなのが自信過剰なタイプ。飲み会の席で自分は座持ちが良いほうなので大丈夫と高をくくっている人ほど、ふたを開けてみると冗長で内容が薄いスピーチで白けさせてしまうのです。こうした残念な場面をこれまで数多く目撃してきました。このように、スピーチに自信がないという謙虚な方ほど、結果的には心に響くメッセージを届けるのです。