でも、それだけでは十分ではありません。ホテルやディズニーランドのような高質なサービスは、ワクワク感とホカホカ感は高められても、参加した感を高めることまではできません。ここからは、参加者自身にかかわてちただく必要があります。そこも含めて、フューチャーセンターはおもてなしと捉えます。つまり、一緒におもてなしの場を作っていくという経験を演出するのです。

では、どうすれば気持ちよく一緒におもてなしの場づくりに参加できるのでしょうか。さすがに、椅子運びをやらされたからといって「参加したな~」とは思えないでしょう。

最高のおもてなしは、「その人を主役にすること」だと思います。

その際、必ずしも「主役は一人ではない」ということを心に留めておいてください。たとえば、次のような複数のタイプの人を同時に主役にすることができるでしょう。

「長老」は主役です。もっとも年長の参加者には、「最後のコメントをお願いします」とあらかじめお願いし、主役になってもらいましょう。もう一つの主役は、「キング」です。社会的にもっとも地位の高い参加者には、他の参加者を次々と紹介して、ネットワークのハブ(結節点)になってもらうことができます。キングと知り合いになることは、他の参加者にとっても嬉しいことなので、キングにソーシャライゼーション(社交)の主役になってもらいましょう。

今度は逆に「若者」も主役にてしまいましょう。もっとも年の若い参加者は、「最年少」として皆に紹介をし、「今日は皆さん、彼(彼女)にたくさんの知識を授けてあげてください」と言い添えましょう。人気者になること請け合いです。もっとも遠くから来た人、社会セクターから参加してくれた人、子育て中の人、プロボノで頑張っている人、最近海外に行ってきた人、なんでも構いません。参加者全員に、それぞれ「唯一の特徴を持った人」として、主役になってもらいましょう自分自身のもっとも古くからの知り合いなら、そのように紹介しましょう。

ファシリテーターが、一人ひとりを「唯一の人」として接することで、場のつながり感が大きく変わるのです「ここは、○○さんにぜひ一言いただきたいですね」と、主役登場の場面をいくつも作っていけるでしょう。誰にどこで登場してもらうか、最適な「出番」を感じ取るためには、つねに参加者一人ひとりの「エネルギーの動き」を感じ取っておく必要があります。退屈そうにしていないか、 何か話したそうな雰囲気か、近くの人との対話は盛り上がっているか、等々。これを感じとっているかどうかで、場のエネルギーをバーンと高められる演出ができるかどうか、大きく変わってきます。

究極のおもてなし(ホスピタリティ)は、参加者全員を「唯一の特徴を持った人」として「主役」になってもらう、そして適切な「出番」をもってもらうことです。