1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」は、今何に興味を持っているのか。マーケティングアナリストの原田曜平さんは、「昭和レトロはもう飽きられ、今は『平成レトロ』ブームがやってきている。例えば、プリクラ、ガラケー、ヘソ出しファッションなどが人気だ」という――。

※本稿は、原田曜平『シン世代マーケティング』(ぱる出版)を一部再編集したものです。

ガラケーとギャル
写真=iStock.com/Darkcloud
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Z世代の特徴は、まったりする「チル」

具体的に、現在のZ世代の消費傾向を掘り下げてみましょう。

まずはZ世代を象徴する気質、チルにまつわるもの。ここ数年ほどはサウナブームが来ており、まったりしたいZ世代にとってもうってつけのレジャーになっていますが、普通のサウナはもう飽きられてしまいました。

そこで注目を浴びているのが、サウナプラスαです。ホテルニューオータニのプールサイドに設置されたプライベートテントサウナ、北欧文化を体験できる巨大な複合施設でサウナやグランピングを楽しめる「ノーラ名栗」、蕎麦居酒屋とサウナが合体した「恵比寿サウナー」など。

手間をかけることなく自然に囲まれる気分を味わえる屋内アウトドアも、チル的なニーズを満たします。屋内で焚き火が楽しめる施設、鳥のさえずりなどがスピーカーで流れるカフェもそのひとつですね。

ゆとり世代の若者たちが好んでいたレジャーとこれらが違うのは、肩の力が抜けていること。爆音で音楽を聴き、ウェイウェイして騒ぐ――のではなく、とにかくまったりする。リラックスが目的。あせあせしない。

食べるのが人より遅くても気にしない

Z世代の特徴「あせあせしない」は私も感じます。

それは、私の研究所でバイトしている大学生たちを昼飯に連れて行く時。私などは若いうちから「速く飯を食えるのが代理店マンだ!」などと言われて育ったものですから、どんな定食屋でも5分くらいで食べ終えてしまいます。それはさすがに早食いが過ぎますが。

しかしZ世代の彼らは、ずーっとしゃべりながら食べていて、1時間経っても食べ終わりません。いい加減戻らなきゃいけない時間なのにまだ食べているので、追い立てるつもりで「先帰るよ」と言ったら、「あ、はい。じゃあ、お疲れさまです」と特に焦る様子もない(ちなみに会計は私持ちですよ)。そういう世代なのです。