──中国のプレゼンスは、これからもどんどん大きくなると思われます。日本は中国とどのように付き合っていけばよいのでしょうか?

中谷 アジア地域における貿易というのは、ますます中国中心になっていくでしょう。と同時に、人民元による取引、「元建て」が増えると見られます。

このあたりで、日本も中国をもっと深く理解しないといけない。一党独裁、人権軽視、賄賂横行、貧富格差とステレオタイプ的に中国を捉え、従来の「親米・反中」という単純なイデオロギーを振り回すだけでは、これからの時代は乗り切れません。

中国人と本当に胸襟を開いて付き合えるようになるためにどうしたらいいのか。まだ日本のビジネスマンはわかっていません。表面的に日本のやり方を押し付けると、中国人が拒否反応を起こすことは事実です。しかし、その壁を乗り越えて、いったん確かな信頼が築けると、それはものすごくしっかりした関係になる。

アメリカ人は、会った次の日から10年来の友人のように「ハーイ」と言ってきます。でも10年経っても、それ以上にはならない。日本人らしさを保ちつつ本当の友達になれるのは中国人だと思います。中国の年配者に、高倉健とか山口百恵の話をすると、「ほー、そうか」とわかりあえる。アメリカ人では、ありえないでしょう。

大切なのは、中国人というのは歴史の重みを感じながら、考え、動いているということを理解することです。今の日本人は、昔のことは水に流して、瞬間瞬間で勝負するような傾向が強い。これでは、中国人の信頼は得られません。

※すべて雑誌掲載当時

(樺島弘文=構成 川本聖哉=撮影)