安易な「欧米追従」より「国益」の議論を

円安の背景として「貿易赤字」が挙げられることもある。財務省が発表した3月の貿易収支は4124億円の赤字となり、単月の赤字は8カ月連続となった。

とはいえ、為替市場の規模を考えれば、「貿易赤字だから円安」というのは厳しい理由付けのように見える。ただ、「貿易赤字」という言葉の印象から「貿易赤字を解消すべく日本国内での供給能力や食料・エネルギーの自給率を高めていくべき」という政策見直しにつながるのであれば、メディアが「貿易赤字だから円安」と報じるのも、多少は目をつむりたくなる気もある。

日本はエネルギー自給率も食料自給率も低い。さらには、グローバル化と称して生産拠点も国外に移してしまっている。そうしたことによって、今回のパンデミックや、ウクライナ侵攻などの地政学リスクが同時に生じると、日本経済は急速に追い込まれるということを、多くの国民が実感しただろう。

コロナ禍においては、店頭からマスクがなくなり、高値で転売されるという事態が生じた。ワクチンについても、国のトップが外交と称して製薬企業に頼みにいかないと、供給することができない。

エネルギーでも、東日本大震災以降、原発を含め現実的なエネルギー戦略を議論し結論を出すことから逃げたまま、脱炭素という将来の話ばかりに目を向けている。

日本の国力低下が「日本売り」につながっている、という論調によって、こうした政策の見直し機運が生まれるなら大歓迎である。

だが、単純に金融政策も欧米に追従せよという残念な議論しかなされないようでは、日本経済の先行きはさらに暗いものとなろう。

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