個人金融資産が2000兆円を超える異常な日本だが、1000兆円以上が「現預金」だ。普通預金の金利が0.001%、定期預金の金利が0.002%なのに貯金するのはありえないことだ。米国株に投資していたら、S&P 500指数基準で単純計算すれば、直近30年で約10倍資産が増えている。

アメリカでは家族の話題で株や投資の話が当たり前にされる。オーストラリアでは、毎日のように為替取引をする人が多い。米ドルが高くなりそうならば、個人の資産を豪ドルから米ドルに替えてしまうのだ。ドイツ人も似たところがあって、不動産も含めて常に自分の個人資産をチェックしてマネージしている。

自分の資産は自分で守る

これからの日本人は預金するのでなく、積極的な資産運用が必要だ。運用益がないところや利回りが低いところには大切な資産は置かない、という発想が重要になる。

このまま円安が進み、日本企業の低迷が続く状況では、海外の通貨や株式、あるいは不動産に分散投資することは当然、検討すべきだろう。今は「ウェルスナビ」をはじめとして、スマートフォンで海外の金融商品に手軽に分散投資できるサービスがある。特に若い世代は抵抗なく始められるようだ。

日本の税制もおかしいから、サラリーマンは税についての考え方も改めたほうがいい。給料天引きで会社に納税してもらうのではなく、税金や社会保険料をいくら収めているかを自分で正確に把握して、金銭感覚を身につけることだ。

日本と違って、米国ではほとんどのサラリーマンが確定申告をしている。その際、自宅に書斎があれば、住宅費の一部を経費として申請できる。「自分が給料を稼げるのは、書斎で勉強しているからだ」という理屈だ。

かつて私は「書斎減税」を提案したことがある。例えばアメリカの常識では、80平米の自宅に20平米の書斎があれば、購入金額の4分の1は減価償却の対象となり経費として請求できる。当然、書斎にあるデスクやパソコン、書籍代も経費になる。米国で夫婦共稼ぎなら、2つの書斎をつくってそれぞれ還付してもらうのは当たり前だ。だからアメリカ人は広い家に住むし、立派な書斎がある。日本ではこども部屋はあっても夫婦共に書斎がある住宅はあまり見かけない。

先進国で「狭いながらも楽しいわが家」と言っているのは日本くらいで、今すぐ禁句にすべきだ。「掃除が楽だから」と言い訳して家がどんどん狭くなっているが、家は大きいほうがいいに決まっている。

日本人は納税はじめ多くのことを会社や国任せにしているから、金銭感覚が身につかない。自分の資産は自分で守る習慣を身につけるべきだ。目前に迫ったインプロージョンの危機に各自備えてもらいたい。

(構成=伊田欣司 写真=EPA=時事)
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