悪いインフレ、悪い円安どころでない

現在の「ボーダレス経済」では、国境を越えてヒト・モノ・カネ・情報が行き交っている。この21世紀の経済原則を私は30年前から提唱してきた。今の日本に起きている物価高、金利上昇、円安という現象は、まさに「ボーダレス経済」を象徴する出来事だ。

FRBのパウエル議長
FRBのパウエル議長。(EPA=時事=写真)

ウクライナ情勢などの影響を受けて、世界的に物価上昇が進んでいる。30年の長期デフレに慣れた日本でも、ガソリンや食料品をはじめ物価が上昇し始めた。

例えば、2022年4月に発表された3月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で8.5%上昇し、約40年ぶりという高水準が続いている。急激な物価上昇を抑えるため、これから米国は利上げを繰り返すことになる。

FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、3月にゼロ金利政策をやめ、政策金利を0.25%に引き上げた。5月以降も、年内にあと複数回の利上げが予想されている。また、これまでの量的緩和政策が改められ、QT(量的引き締め)を実施することも注目を集めている。