谷垣総裁が、まず言うべきは「野田さん、よく言った」

次期衆議院総選挙が年内にあるのか、衆議院の任期が切れる2013年夏まで延びるのかわからないが、民主党政権が崩壊することだけは間違いない。前回の選挙(2009年8月)の反動で自民党政権および自民党を中心とした連立政権に戻る可能性もある。しかしながら、結局のところ自民党も民主党も両方ダメなのだということを国民はどこまで理解しているだろうか。自民党がダメなら民主党、民主党がダメなら自民党と、行ったり来たりの選択を繰り返していたら、この国は衰退の一途だ。

自民党総裁に就任してはや2年半弱。いつ政権政党に返り咲けるのか。(SANKEI/Getty Images=写真)

それにしても、最近の谷垣禎一総裁の発言を聞くと、つくづく自民党もしみったれた野党に成り果てたと感じる。財政再建派の谷垣総裁はもともと自分が「消費税10%に引き上げるべし」と言い出したのに、野田佳彦首相が呼びかける消費税増税の与野党協議に対して一向に応じなかった。「消費税増税は民主党のマニフェスト違反」を理由に挙げて、増税法案の提出前に衆議院の解散総選挙を求めているのだ。

しかしこれは、明らかな戦略ミスだ。もはや次期総選挙で民主党が大敗を喫するのは目に見えている。自民党としては選挙のタイミングが早くなればなるほど準備不足になるから、いっそのこと「遅くてもいいのだ」と割り切るべきなのだ。

どちらにしても衆議院が任期切れを迎える来夏までに総選挙は確実にやってくる。そこで政権与党に返り咲く可能性が高まるような戦略を採ることが大切で、だからこそ野田政権が切り出した消費税増税論議を頭からはねのけるべきではないのだ。

谷垣総裁が、まず言うべきことは「野田さん、よく言った」だった。そのうえで

「私自身、自民党総裁選で消費税10%を掲げて戦って非常に苦しい思いをした。しかし日本のことを真剣に考えると、消費税は10%に上げざるをえない。だから私は賛成である。野田さんはよくぞ、そこまで理解してくれたし、決断してくれた。

しかしながら、民主党は消費税を上げないといって政権を取った。経費削減を死に物狂いでやれば消費税を上げないで済むと言っておきながら、その道筋を示せなかったのは政権与党としてあまりに力不足だ。我々は日本国債をデフォルトさせないためにも、消費税10%に諸手を上げて賛成するし、全面的に協力もする。しかし、あなた方民主党はムダの削減にもっと真剣に取り組むべきではないのか。事業仕分けをテレビドラマ化したが、結局数十億円しか出てこなかった。そこの議論をきちんとやりましょうよ――」。