「年収300万円未満」男性の多くが未婚のまま
要するに、「お金が足りないから孤独感を感じてしまう」のです。裏返すと、経済的な欠落感がなくなれば孤独感は解消されるかもしれないという新たな解決方法も見えてきます。必要なのは、人間の友達じゃなく、お金という友達だったのでは、と。
そういうと「お金があっても孤独に悩む人がいる」「友達や家族はお金では買えない」「なんでもお金で解決できる問題じゃない」という人も出てくるかもしれませんが、それはある程度お金に余裕がある人の論理ではないでしょうか。
私は、未婚化・非婚化についても経済問題であるという点を繰り返し述べてきました。例えば、結婚適齢期である25~29歳の未婚男性の年収は額面300万円未満で49%を占めます。30~34歳に上がってもその割合は43%です(2017年就業構造基本調査より)。
結婚に際しては、「年収300万円の壁」というものが存在します。事実、2012年と2017年の5年間で結婚した男性の年収をみてみると、300万円を超えたあたりで急激に既婚増になります。「夫単独で300万円なくても夫婦ダブルワークで協力すればいいじゃない」と簡単に言う人もいますが、中にはそういう夫婦もいるでしょう。しかし、実際に300万円未満の男性の多くが未婚のまま年をとり続けているのは紛れもない現実です。
結婚相談所などにおいては、年収300万円未満の男性は入会拒否されるケースもあります。年収差別でも偏見でもありません。入会してもマッチングされないという今までのデータがあるからです。
お金がないと人とのつながりすら消えてしまう
結婚だけではありません。社会人以降は、友人関係ですら同類縁です。つまり、友達になれる間柄というのは大体同じような収入のある者同士ということです。300万円に満たない年収の人間が1500万円の年収のある裕福層と一緒に遊ぼうと思っても、それを許すお金がありません。実施する趣味や行動にかけるお金のレベルも合わないでしょう。
何より200万円台で生活をするとなれば、それこそ毎月かつかつの生活を余儀なくされます。一人暮らしならなおさらです。まして、今後インフレが加速するのに賃金が上がらないのではお先真っ暗です。自分ひとり生きていくのに精いっぱいで、誰かと一緒に遊んだりする余裕すらなくなります。お金がないから人とのつながりもなくなるわけで、孤独の正体は貧困なのです。
孤独を苦痛と感じる人の根本が「人とのつながりがないことではなく、お金がないことの不安」だとするならば、話し相手がいればいい、とか、居場所があればいい、という前に「まず、金をよこせ」と言いたいのかもしれません。