孤独の正体は「結婚できない」ではなく…

年代別世帯年収別孤独を感じる割合
年代別世帯年収別孤独を感じる割合

20代だけは多少バラツキが見られますが、男女とも年収が高くなるほど孤独を感じる割合が減少しています。注目したいのは、単身世帯でも2人以上の世帯でも同様に年収が増えるほど孤独感が減少する点です。これと、前述した配偶関係別のグラフと照合すると、以下のような仮説が浮かびます。つまり、孤独感とは、有配偶など誰か同居する人間がいるかいないかという問題より、年収の多寡で孤独感の増減が決まるのではないか、ということです。

もう少し深堀りして、続いて、孤独を感じる要因別にみていきましょう。

以下のグラフは、これまで経験したライフイベント別孤独感を表したものです。5段階評価のうち孤独感が「常にある」「時々ある」というトップ2合計数値と「ほとんどない」「決してない」というボトム2の合計数値との差分で比較します。グラフの右側に伸びているほうが孤独感が高いことを示しています。20~50代各数値を累積表示しました。

最も多い「生活困窮・貧困」から見えてくるもの

これによると、「一人暮らし」など人との同居環境による変化は孤独感には影響をほとんど及ぼしていません。同様に、家族との離別や死別、友人などの離別についても少ない。

男女共通で孤独感を増幅させているのは、「病気・けがなどの心身トラブル」「DVや虐待など家族間のトラブル」「金銭的トラブル」などですが、男性側で特に多いのが「いじめやハラスメントなど人間関係のトラブル」と「生活困窮・貧困などの経済トラブル」です。女性側でも経済トラブルがもっとも孤独感を増幅させた要因となっています。

男女別「孤独を感じたライフイベント」
男女別「孤独を感じたライフイベント」

先ほどの年収との相関とあわせて考えると、孤独を感じるというのは、人間関係の問題ももちちんあるのですが、それと同等以上に「経済的問題」であることが分かります。

今まで、感覚的に「家族や友達など話し相手がいない」とか「コミュニケーションする相手がいない」ことだけが、孤独感の元凶のように語られていましたが、この初めての孤独に対する大規模調査から浮かび上がってきたのは、「孤独とは経済問題なのだ」という発見です。