「衝突被害軽減ブレーキ」の新車への装着が義務化
車載のセンサーが危険を察知し、ドライバーに危険を知らせて事故回避につなげる。こうした先進安全技術の有用性が認められてきた。代表的な「衝突被害軽減ブレーキ」に至っては新車への装着が義務化となった。
具体的には、2021年11月以降に発売されている新型の国産車に関して、国の基準(例:40km/hで走行中、停止している車両に衝突しないこと)を満たした性能を有する衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化された。
義務化の時点で販売されていた車(=継続生産車)は2025年12月以降、同タイミングの軽トラックはさらに後倒しで2027年9月以降に義務化が課せられる。また、正規販売される輸入車の新型車は2024年7月以降、同継続生産車は2026年7月以降、先の国内基準が適応される。
衝突被害軽減ブレーキは、1991年に旧運輸省時代から現在へと続くASV(アドバンスド・セーフティ・ビークル)構想の最初期から導入が検討されていた先進安全技術で、2003年6月にホンダの上級セダン「インスパイア」が世界で初めて実装した。
2019年に新車発売された乗用車では9割がすでに搭載
国土交通省によると、令和元(2019)年に国内で新車販売された乗用車のうち、衝突被害軽減ブレーキ搭載車は93.7%に達しているという。統計を開始した平成23(2011)年には1.4%であったものが、その有用性が認められた結果、ここまで高い普及率を示したわけだ。
ちなみに、国内の車両保有台数に占める衝突被害軽減ブレーキ搭載車の割合は令和元(2019)年8月時点で約24%にあたる。また、衝突被害軽減ブレーキの技術を部分的に応用した「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」は、衝突被害軽減ブレーキの普及率に比例し83.8%まで高まってきた。
このように衝突被害軽減ブレーキは高い普及率のなかで義務化が施行されたわけだが、ドライバーには引き続き、システムに対する過信を抱かない運転操作が求められる。
先進安全技術は一部の高級車だけに装着されるものではない。義務化はすべての車両に対して施行された。そもそも先進安全技術を市販車に導入する大きな狙いは「交通死亡事故の低減」にある。
その意味で、日本市場の販売主力であり多人数乗車となる確率が高く、走行距離や走行回数の多くなるミニバンに先進安全技術が搭載されることは重要である。