先進安全技術の集合体がノア&ヴォクシーに採用された

トヨタの新型ミニバン「ノア&ヴォクシー」には、先進安全技術の集合体である「Toyota Safety Sense」が採用された。試乗したヴォクシーのグレードでは、①標準装備の衝突被害軽減ブレーキに加えて、②車両後側方の車両を検知して知らせる「BSM」、③後部スライドドアでの降車時に機能する「安心降車アシスト」、④後方から接近する車両や人を検知して報知しブレーキ制御まで行う「パーキングサポートブレーキ」、⑤高速道路などで車間を保持しながら前走車に追従する「ACC」+車線中央維持機能「LKS」作動時に、40km/hまでの車速域でステアリングから手を放して走行できる「アドバンストドライブ」がワンパッケージとしてオプション装備として用意された。価格は13万4200円(税込み)だ。

なお、アドバンストドライブには専用の高速道路情報(ディスプレイオーディオではT-Connect・コネクティッドナビの地図情報)が必要で、利用できる道路には現時点で制限がある。

上記ワンパッケージのオプション装備価格は試乗したグレードの車両本体価格(309万円)のうち約4.3%を占める。値は張るが、得られる安心・安全機能からすれば圧倒的に安価だ。

15年前では①~⑤の半分に満たない機能で100万円超のオプションであったし、5年ほど前にはミニバンはおろか一部の高級車であっても①~⑤を備えるクルマは少なかった。

収納スペースにも余裕がある
筆者撮影
収納スペースにも余裕がある。3列目シートはワンアクションで格納&固定ができるよう改良が施された

「先進安全技術は普及してこそ事故抑制効果が高まる」

「先進安全技術は普及してこそ事故抑制効果が高まります。我々としては有用性を高めるために技術の精度を高めてきました。また、普及させるためには安価でなければならず、その点でも企業努力を重ねてきました」とは、トヨタ自動車の自動運転・先進安全開発部に所属する安田敏宏さん。

こうした先進安全技術群は車載のセンサーが電子の眼となり自車周囲の状況を捉えて車両の制御に活かす。この流れは先進安全技術が実用化された20年以上前から変わらない。

それが2020年頃から先進安全技術の守備範囲が広くなった。これまで危険な状態に近づきそうになる、もしくは危険が避けられない状態のときに作動するのが先進安全技術だったが、今では日常の運転操作から先進安全技術が積極的に安全運転をサポートするようになったのだ。

このサポートをトヨタでは「プロアクティブドライビングアシスト/PDA」と呼ぶ。日本語にすれば「先回りして運転を補助する」といった意味になる。PDAは次のA~Cに掲げた3つの領域で先進安全技術による運転支援を行う。