チームのモチベーションを高めるにはどうすればいいのか。トーチリレー代表の神保拓也さんは「モチベーションが低いのは、具体的にチームのだれなのか。『チーム』や『部下』と捉えているままでは、その悩みは解決できない」という――。

※本稿は、神保拓也『部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 悩みは欲しがれ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

動揺しているビジネスマン
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人の悩みに向き合う際の3つの基本姿勢

上司をはじめとした「悩み相談に乗る人」はどうしたらいいのでしょうか?

ここからはその疑問に答える形で、普段私が人の悩みに向き合う際に意識している「3つの基本姿勢」について述べていきます。

悩みに向き合う時の基本姿勢①一人ひとりに寄り添う

まず1つ目は「一人ひとりに寄り添う」ということです。

部下育成やマネジメントに悩んでいる方の多くが、「『部下たち』のモチベーションが低くて、悩んでいます」「『部下』とどうコミュニケーションをとればいいのでしょうか」といった悩みを抱えていらっしゃいます。

ただ、ここで考えていただきたいのです。「部下」という名前の部下はいません。

人に寄り添い、本気で悩みに向き合う時の単位は、「全体」ではなく、目の前にいる○○さんという「個」であるべきです。それなのに多くの方が、向き合う単位を「部下」などと一括りにしています。しかし、実在しない「部下」という存在に寄り添うことなどできません。

「部下育成に悩んでいる」「チームメンバーのモチベーションが低くて困っている」と私に相談にいらっしゃる方には、少し意地悪く思われるかもしれませんが、必ず次のような質問をするようにしています。

「あなたが育てたいと思っているその部下の方のお名前は、何さんとおっしゃるのですか?」
「チームメンバーのモチベーションが低いというのは、全員がそうなのですか?」
「チームメンバーは全員で何名いて、その中でモチベーションが低い方は何名いるのでしょうか?」
「その方たちのモチベーションが低い理由を、一人ひとり個別に教えていただけませんか?」

するとほとんどの方が、

「部下育成全般について悩んでいるので、特に誰というわけじゃないのですが……」
「彼らのモチベーションが低い理由ですか? さすがに一人ひとりまでは把握していません……」などと口ごもってしまいます。

そして二言目には「もっと私も『部下』の悩みに向き合わなければと思ってはいるのですが……」とおっしゃるのですが(苦笑)、「部下」に向き合おうとし続けていても、本気で人の悩みに向き合うことはできません。