もちろん、親はお金を出している立場なのだから、成績について問う権利があるのだといわれれば、そうでしょう。しかし、あまり成績について掘り下げんとすると、重圧に耐えかねて、逆に勉強に集中できなくなる場合もあります。

スポンサーである親の願いとは、つまり「大学に合格してほしい」というところでしょう。となれば、大学に合格しにくくなるような行為は、自らの不利益につながりますよね。

本当に合格してほしいと願うなら、あまり勉強の様子に干渉することはなく、本人から話してきた時にだけ、黙って聞いてあげるというような、懐の深い態度も必要になるでしょう。

「頑張れ」と言わずとも常に受験生は頑張っている

×「頑張れ」のような励まし系の声掛け

では、応援くらいはいいだろう、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。残念ながら、それもNGです。

大学受験とは非常に残酷な競争で、どんなに頑張っていたとしても、入試本番である程度の点数を取ることができなければ、不合格となってしまいます。先着順にとっていき、既定の人数となったところで締め切るので、「○点を確保したから絶対に安全」なんてことは言えないのです。

ですから、受験生は常に「最良」を求めることが義務付けられます。今100%の実力で不合格になりそうなら成績を向上させることが求められますし、今の実力で合格しそうでも、周りのライバルが追い上げてくることを見越して、常に走り続けなくてはいけません。立ち止まることが許されないレースなのです。

つまりこれは、受験生は常に頑張り続けているということ。そして、浪人生は去年1年間を頑張った結果、それでも頑張りが足りずにもう1年となってしまった存在です。自分自身浪人生だったからこそ分かりますが、やはりこの時期は新たなスタートを切ろうとは思いつつも、どうしても「どうして去年あんなに頑張ったのに……」という思いを拭い切れない時期でもあります。

薄暗い図書館で勉強している学生
写真=iStock.com/Sam Edwards
※写真はイメージです

そんなとき「頑張って」というような励ましの言葉は、逆効果になる可能性があるのです。既に頑張ってきたにもかかわらずその頑張りを否定された直後だからこそ、この時期の「頑張れ」という言葉は、受験生の心をズタズタに引き裂く刃となりかねません。

ですから、本当に心からの応援だとしても、この4月の時期は、心にとどめて静かに送り出すにとどめるとよいでしょう。