新年度が始まった。不本意にも大学浪人を選んだ子に対して、親はどう接すればいいのか。浪人を経験した現役東大生の布施川天馬さんは「僕は家ではまったく勉強しなかったが、親から『勉強しろ』とは一度も言われなかった。親はあまり受験生に干渉しないほうがいい」という――。
勉強している女子高生
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「やってはいけない声掛け」をしてしまうと逆効果に

みなさんは、4月というとどのようなイメージを持つでしょうか。僕は、新学期や新入生など、何か新しいものが始まる季節という印象を持っています。

大人も子供も、心機一転、新しく1年を迎える「第二の年明け」のような意味合いを持つこの4月。「新しい始まり」といえば、なんとなくすがすがしく、心地よい響きがあります。

ですが、この4月をあまり喜べない人もいます。受験生や浪人生です。僕自身も浪人の経験があるので分かりますが、特に浪人生は大学受験に失敗し、浪人することを決意した直後の時期でもあります。この4月という季節は、今年初めて大学受験をする人にとっても、去年惜しくも夢破れて新たに戦い始めるという人にとっても、新たな始まりを意味します。そういった意味で、4月は、長い1年の始まりを告げる、大変厳しく残酷なシーズンなのです。

浪人していた当時は自分のことだけで手いっぱいでしたが、浪人するお子さんや高校3年生のお子さんを抱えている親御さんたちの苦労もまた計り知れないものがあると思います。本当に来年は合格できるのか、つい先月の挫折に心を痛めていないか、今年1年という長い年月を頑張り続けることができるのか、さまざまな心配があるでしょう。

純粋な親心から、何か声掛けをしてあげたいと思うかもしれません。ですが、「やってはいけない声掛け」をしてしまうと、当人にとってむしろ逆効果に働いてしまうこともあります。応援するにしても注意しなくてはいけないことがあるのです。

ここでは、僕自身の実体験に基づきながら、むしろ子供たちのやる気をそいでしまうような声掛けをご紹介したいと思います。