円安と資源価格上昇で逆風はさらに強まる

金利の上昇は、期待先行で株価が上昇し割高感の強いナスダック上場銘柄を筆頭に株価の下落リスクを高める要因だ。株価が本格的に調整すれば、負の資産効果によって個人の消費意欲は低下する。それによって、米国が景気後退(2期連続でGDP成長率がマイナスになること)に陥る展開は排除できない。足許の世界経済を支える米国の経済成長率の低下は、わが国をはじめとする世界経済の下振れリスクを高める。

今後、相応の期間にわたって世界の物価は上昇する可能性が高い。それと同時に、コスト増加による企業業績の悪化などによって、主要国経済の成長率は低下するだろう。わが国経済は円安と資源価格の上昇による交易条件のさらなる悪化に直面することになりそうだ。それに加えて、人口の減少や正規と非正規雇用者の経済格差の拡大などによって国内経済は縮小均衡に向かう。わが国への逆風は強まるだろう。

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