割合につまずく理由は

進度だけではなく、学びの深さも違います。

たとえば速さの単元では、小学校では、速さの3公式という「速さ」「道のり」「時間」の関係を習います。「分速30mの人が5分歩くと何m進みますか」といった、二つがわかっているときに残りの一つ(この場合は道のり)を求めるところまでです。

幼児用のマグネットの数字と四則演算記号
写真=iStock.com/Michael Burrell
※写真はイメージです

中学入試では、3公式をもとにして、複雑な状況を整理していくような問題が出題されます。

「分速30mのAくんと分速50mのBくんが800m離れたところから同時に相手のほうに歩きだすと、出会うのは何分後ですか」といった問題です。

図形も同様です。三角形の内角の和や相似・合同など図形の性質を知るところまでが小学校の勉強。中学入試では、それを使った応用的な問題が出題されます。

中学受験の勉強、とくに算数は難しいというイメージがあると思います。でも、応用問題を解くために大事なのは「基礎・基本」をしっかり身につけることです。

たとえば、つまずきやすい分野として「割合」があります。

でも、つまずく原因は、割合が難しいからではありません。前段階である小数・分数のかけ算・わり算に十分習熟していない場合が多いのです。

たとえば「クラスの女子は4人で、全体の3分の1です。クラスの人数は?」という場合、4÷1/3=12と計算します。整数の計算では、かければ増えて、割ったら減るのですが、小数・分数では、かければ減って、割ったら増えることがあります。そこで頭が混乱して止まってしまう子が多いのです。

また、「12人のクラスで女子が4人のとき、女子の割合は?」というときは、4÷12=1/3となります。この場合、小さな数を大きな数で割るのですが、そこに抵抗がある子もいます。

『プレジデントFamily2022春号』
『プレジデントFamily2022春号』

数と計算に十分慣れて感覚が身についていること。整数と小数・分数の違いを理解していること。そういった基本が定着していることが大切なのです。計算力が足りないだけなのに、「割合は難しい」「算数が苦手」と思ってしまっているのです。

計算は、練習をすれば誰でもできるようになります。まずは、きちんと正しい計算の仕方を身につけること。繰り上がり、繰り下がりでの位取りがスムーズにできますか。

そして、毎日の計算練習で数に慣れることも必要です。自分の学年の計算が正確にできるようになったら、速く解けるように意識しましょう。最初は丁寧にひっ算をするのが大事ですが、慣れてきたら暗算で解けるようになってきます。

中学受験を考えるのなら、3年生の終わりまでに、2ケタのたし算・ひき算を暗算でできるようになっているのが理想です。