4月8日、今年初となる台風が太平洋上で発生した。これを報じるニュースには「台風1号(マラカス)」とカタカナ名が併記されている。なぜ数字だけでなく、わざわざ個別の名前が用意されているのか。サイエンスライターの今井明子さんが解説する――。
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気象庁オリジナルの命名は番号順

過去に大きな災害をもたらした台風は、名前とともに語り継がれるものです。日本では、1947年に利根川流域で大規模な被害をもたらした「カスリーン台風」や、1959年に明治以降最多の死者・行方不明者を出した「伊勢湾台風」がよく知られています。

最近では2013年にフィリピンで6~7mの高さに達する高潮を発生させ、甚大な死者・行方不明者を出した「ハイエン」という台風の名前を耳にしたことのある人もいることでしょう。

台風が発生すると、気象庁では1月1日以降でもっとも早く発生したものを「台風第1号」とし、それから発生順に2号、3号……と番号をふっていきます。そして次の年に最初に発生したものは再び1号と呼ばれます。

これだと命名は簡単なのですが、印象に残りづらいのが欠点です。番号は人の記憶に残りにくいですし、「大きな災害をもたらした台風15号」といっても、それが2000年のものなのか、2019年のものなのかはわかりづらいです。このため番号ではなく「名前」でしばしば呼ばれてきました。