そして、日本がペット先進国である欧米に追いつくためには、マイクロチップ装着の義務化は必須であったとの見解もあります。そのようないくつかの理由から2019年に動物愛護法を改正し、義務化に至ったのです。
義務化について知らない人は76%にも上る
マイクロチップが日本に入ってきたのは1997年で、2002年頃からその普及活動が始まりました。2004年には、犬や猫などの動物を輸入する際のチップの埋め込みが義務化。2005年には「特定外来生物」や「特定動物(危険動物)」への個体識別措置として義務化されました。
当初は一般の飼い主への認知度は低く、装着もわずかでした。環境省のマイクロチップ義務化に関する資料によると、2005年の公益社団法人日本獣医師会のマイクロチップ登録制度(AIPO)の登録数は、犬と猫を合わせて約1万件でした。その後、2010年には約45万件、2022年3月時点では約281万件と着々と登録数が増えています。今後は義務化に伴い、ますます登録数が増えていくだろうと予想されています。
しかしながら、日本トレンドリサーチを運営する株式会社NEXER(ネクサー)が、2021年12月28日~2022年1月12日に全国男女計2000名を対象に「犬猫のマイクロチップ装着義務化に関するアンケート」を行ったところ、「今年6月に犬猫へのマイクロチップの装着が義務化されることを知っているか」との質問に対し、76.3%の人が知らないと回答しました。
半数超の飼い主が「装着させたくない」と回答
また、「現在飼っている犬や猫にマイクロチップを装着しているか」との質問に対しては、全頭装着していない75.5%、全頭装着している21.5%、装着している犬猫もいる3.0%という回答。さらに、全頭装着していないと言う飼い主に対し「今後マイクロチップを装着させたいと思うか」との質問をしたところ、55.9%の人がマイクロチップを装着させたくないと回答しました。
現段階では、多くの一般の飼い主が装着を否定的に捉えていることがわかります。その理由には「体に異物をいれるなんて考えられない」という根強い抵抗感があるようです。また、「健康への影響が心配」「費用も高いし、手術は避けたい」「室内飼育なので必要ない」「必要性がまだ理解できていない」などマイクロチップ装着への不安や理解不足も多く見受けられました。
アンケート結果から読み取れるように、一般の飼い主の「努力義務」は、まだスタートラインにも立っていない状況です。まずは、マイクロチップ装着についての正しい情報を入手し、その抵抗感や不安、理解不足を払拭することが大切です。その上で、装着について考える必要があるでしょう。