目先の小さな損よりも、将来の大きな得を考える

この損益分岐点については、みなさんの関心が高いのも承知の上ですが、おそらく、私のようなFPの立場では、「もし働ける環境であるのなら、社会保険料の負担や控除を気にせずにしっかりと働いた方が良い」という意見が大多数で、私も同感です。

その理由は、

1 収入や貯蓄が増える
2 公的年金やiDeCoで税制優遇の恩恵を受けながら、「自分年金」を増やせる
3 夫の年収が高く適用外の医療費を高額療養費の対象にできる
4 病気やケガで休業した場合の傷病手当金が受けられる
5 パート先が組合健保で付加給付があるなら手厚い保障が受けられる
6 失業した場合の雇用保険が受けられる等々。

若い世代にとっては、これらのメリットの多くはちょっと先のお話。今現在の年単位の観点でいえば、税金や社会保険料を負担する方が損に感じられるかもしれません。

財布を開く女性の手元
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
※写真はイメージです

でも、私は病気になった時、自営業で公的保障が薄い大変さを痛感しました。社会保険加入のメリットは多くの方が想像するより大きいのです。

また、60歳以降、年金生活に入ると世帯収入は激減します。夫に先立たれると収入はさらに減ります。そのとき妻に「自分名義」の貯蓄や年金があると、心強いものです。

目先の小さな損よりも、将来の大きな得を考えてみてください。長い目で見れば、「○万円の壁」を意識して働き方を制限することが、実は損をする行動につながっていると考えるのですが、いかがでしょうか。

◎ 控除や社会保険料を気にせずに、できるだけ長時間働く
×「○万円の壁」を意識し、そこを超えないように頑張る
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