製薬マネーをもらった人の論文を信用できるか

なぜ、製薬会社から多額の資金提供を受けることが問題なのか。それは、臨床試験などの研究結果が、製薬会社の都合のいいように歪められるのではないかという疑念が生じるからです。

医学研究において、資金提供によって科学研究の結果が歪められると疑われる状況にあることを「利益相反(COI=Conflict Of Interest)」と言います。それらしい言葉で表現していますが、要は「癒着」です。

鳥集徹『医療ムラの不都合な真実』(宝島社)
鳥集徹『医療ムラの不都合な真実』(宝島社)

21世紀に入って、医学における利益相反が世界中で問題となり、臨床試験の結果などを医学誌に投稿する際には、COIを開示することがルールとなりました。医学論文を読むと、最後に、筆者たちと研究対象となっている医薬品に関連する製薬会社との間に、利害関係があるかどうかが書かれています。もし利害関係があったとしても、利益相反を開示していれば、一応問題はないとされています。

しかし、製薬会社から多額のお金を受け取っている人たちが著者となった論文の結論を、どれくらい信用していいものでしょうか。そもそも、製薬マネーを受け取っていないクリアで中立な立場の人が、医薬品の有効性や安全性をジャッジしなくてはならないと思うのですが、みなさんはどのように思われるでしょうか。

医学部の教授たちも「お金をもらっているからといって、臨床試験の結果に手心を加えることはない」と主張するでしょう。しかし、本当にそれを信用していいものなのでしょうか。

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