「学術研究助成費」は薬を多く使う診療科に集中する

さて、次に大きいのが「学術研究助成費」です。これは学術研究の支援を目的に支払われるもので、主に「奨学寄附金」と「学会協賛金」などが含まれます。

2018年の1位は中外製薬で約27億円、2位が第一三共で約19億円、3位がエーザイで約16億円、4位が武田薬品工業で約16億円、5位がアステラス薬品で約15億円です。ワクチンメーカーは、ファイザー社が8位で約13億円、アストラゼネカ社が30位で約3億円。同じく80位までのデータをすべて足し合わせると、約336億円となりました。

奨学寄附金とは何でしょうか。これは主に大学医学部の医局(主に臨床系の診療科別の教室)に製薬会社が支払う、使い道が限定されていないお金です。どんなものに使われるかというと、教授秘書の給料や教室の物品購入費などに充てられています。

この奨学寄附金の支払先には、特徴があります。それは薬を多く使う診療科に、多額のお金が流れていることです。2015年、私は、医療と製薬マネーとの関係について書いた『新薬の罠』(文藝春秋)という著書を出版しました。その本に、2012年度の東大病院の診療科別の奨学寄附金受入額ランキングを載せたのですが、1位が循環器内科で1億902万円、2位が糖尿病・代謝内科で9629万円、3位が腎臓・内分泌内科で9043万円、4位が皮膚科・皮膚光線レーザー科で8300万円、5位が消化器内科で7259万円でした。

同じ病院でも循環器内科とリハビリ科の差は17倍

一方、寄附額が少なかったのが、小児科(763万円)、緩和ケア診療部(745万円)、リハビリテーション科(639万円)などでした。なぜ、同じ東大病院なのに、こんなに格差があるのでしょうか。それは、新薬が多く使われるかどうかで、製薬会社によってお金を支払う価値が異なるからです。薬を使う必要がほとんどないリハビリ科にお金を払っても、あまり意味がありません。

リッチな診療科の多くは、高齢になるほど患者が増える生活習慣病を診ています。

循環器内科や腎臓・内分泌内科は、高血圧薬(降圧薬)やコレステロール低下薬(スタチン)をよく使う診療科です。また、糖尿病・代謝内科は、糖尿病治療薬(血糖降下薬)を使います。高血圧薬は70歳以上の約50%が使っており、コレステロール薬も約30%と非常に多くの人が飲んでいます。