引き続き人気の「ふるさと納税」は寄付? 節約?

最近は、日本でも、震災時のボランティア活動や持続可能な開発目標(SDGs)の普及など、社会貢献の意識が高まりつつあります。

寄付文化の普及に取り組むNPO法人日本ファンドレイジング協会によると、2020年の国内の個人寄付総額は前回調査の16年比56.3%増の1兆2126億円。とくに、2020年の個人寄付者のうち、新型コロナウイルス関連で寄付をした人が全体の2割を占めるなど、コロナ禍で身近な人との助け合い意識が高まっているのだと思います。

SDGsがコンセプトの写真
写真=iStock.com/Boonyachoat
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さらに、同調査では、人気の「ふるさと納税」が過去最高を更新し、6725億円と同年比2.4倍に増えたとあります。

そもそも、この制度は、おもに首都圏等で働く地方出身者(まるで私のような!)の税金を、ご恩返し的な意味で地方に還元することを目的に2008年度に創設されたしくみです。

現在の住所地だけでなく、個人が選んだ“ふるさと”に恣意的に寄付(納税)できる点は、これまでにないユニークなしくみと言えるでしょう。

この制度のメリットは、①気軽に好きな自治体に寄付できる、②自分の税金が安くなる、③実質2000円でお礼に特産品がもらえるといった3つが挙げられます。本来の目的からすると、メリットの比重は、①>②>③のはずなのですが、創設から10年以上が経過した現状では、③>②>①になっている印象が否めません。

当初、感謝のしるし程度だった返礼品が、自治体同士の競争が過熱化した結果、「ふるさと納税=豪華な特産品をゲットできるオトクな制度」という位置づけになってしまっているのは、個人的にはちょっと残念に感じています。とはいえ、ふるさと納税が地方の活性化に貢献していることも確かです。