「お金の使い方」と幸福には相関関係がある

また、ダン博士の他の研究によると、お金と幸せには相関関係がほとんどなく、その代わりに、お金の使い方が関係するということで、実証研究から幸福になれる8つの使い方を提案しています。

〈幸福になれる8つのお金の使い方〉
1 モノではなく経験を買う
2 自分ではなく他人の利益のために使う
3 少数の大きな喜びではなく多数の小さな喜びに使う
4 期間の延長や保障にお金を使わない
5 支払いを先延ばしにしない
6 買ったものが生活をどう向上させたか振り返る
7 いつまでも買ったものを比較しない
8 他人の幸福に細心の注意を払う
黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)
黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(日本経済新聞出版)

著書『「幸せをお金で買う」5つの授業』(中経出版)でも、「他人にたくさん投資すればするほど、幸福度は増したのです」「あなたがもっとたくさんのお金を稼ぐことに焦点を合わせているなら、『お金を一部の人にあげること』が『もっとたくさん稼ぐこと』と同じくらい自分にとっての報酬になることを頭にいれておいてください」と述べています。

日本でも、大阪大学社会経済研究所が実施した「くらしの好みと満足度についてのアンケート」(2004年2月)によると、「『お金を貯めることが人生の目的だ』という人は不幸」という結果が出ています。

GDPが高くても、日本人が幸福を感じられないのは、将来の漠然とした不安にかられて、お金を貯めることばかり考える人が多いからかもしれません。お金は使わなければ、単なる「日本銀行券」。紙切れに過ぎません。どのように使うかで、意味や価値が出てくるものだということです。