速く走るにはどうすればいいのか。「イナズマ純也」と呼ばれているサッカー日本代表の伊東純也選手は「ランニングフォームに正解はない。私自身も走り方はスマートではない。速く走るために必要なことは、フォームよりも、『腕振り、足上げ、着地』の3つが重要だ」という――。
※本稿は、伊東純也『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム)の一部を再編集したものです。
「速く走れる子」と「足が遅い子」の決定的な違い
走ることが苦手な子どもに、「どうして速く走れないの?」とたずねると、たいてい次のような答えが返ってきます。
「だって、運動神経が悪いから……」
これを親の立場になって考えると「ウチの子は生まれつき運動が苦手で……」という言葉が返ってくることでしょう。
この言葉の裏には、運動の得意不得意は、生まれつき決まっているという思い込みがあります。なぜ、私たちは「足の速さは生まれつき」と考えてしまうのでしょうか。
これは水泳と比べると、分かりやすいかもしれません。
水泳の場合、はじめから泳げた、という子はいないと思います。たいていは水中で目を開けるところから始めて、次に水に浮かび、それからバタ足の方法を親や学校の先生に教えてもらってようやく泳げるようになります。
ゼロからひとつずつ積み重ねていくので、努力や工夫次第で水泳は上達する、という気になれます。
でも、足の速さは違います。だれに教わることもなく、いつの間にか自然に走れてしまうので、速い遅いは生まれつき決まっているものだ、と錯覚してしまうのです。
だからこそ、すべての子どもに速くなるチャンスがあります。速くなるための走り方を知る機会さえあれば、「走ることが苦手」と思い込んでいるあなたのお子さんも、速く走れるようになります。
ランニングフォームに正解はない
では、速く走るために必要なこととはなんでしょうか。足が速くなる方法が書かれた本やサイトの多くには、正しい走り方について、ていねいな説明が書かれています。