まずは本人に任せて、うまくいかなければその都度修正

まずは、自律性の感覚を満たすために、勉強そのものへの選択権を可能な限り子どもに与えることです。「勉強を何時から始めるのか」「どの科目から始めるのか」「どんな風にやるのか」を子ども自身に選ばせましょう。

「ノートに書きなさい」「式を書きなさい」「字はていねいに書きなさい」などなど、指示・命令があればあるほど勉強がつまらなくなります。

例えば「式は書いたほうがいいよ」といったアドバイスをするときには、「なぜ式を書いたほうがいいのか」メリットをしっかり伝えつつ、最終的にどうするかは本人に任せるのがよいでしょう。

もしそのアドバイスに子どもが従わなかったとしたら、そのときではなく、「そのせいで計算ミスした」といった不利益があったときに反省会をするとよいですね。

自分で選んだ感覚があるほど、勉強自体が楽しくなります。

勉強した先にあるゴールを決める場合にも、同様に自分で選ばせるようにしましょう。

やる気を引き出すためには「本人に決定権がある」ことが重要です。

中学受験をすることを親が決めて、本人が納得しないうちに塾通いがスタートするというケースは、多数派ではないでしょうが、少なからずあると思います。そうしたケースは高確率で子どもの勉強への意欲は低くなります。

やりたいと思ってもらえるように、受験するメリットを伝えつつ、授業を体験した感想なども聞きながら、最終的にどうするかは本人に任せるのがよいでしょう。

志望校を決める場合も同じですね。文化祭などの行事に足を運ぶなど、本人が「行きたい」と思う学校に巡り合うのをサポートしましょう。

将来の夢が先に決まっている子であれば、「目の前の勉強を頑張ることが、夢の実現にどうつながるのか」を教えてあげるとよいでしょうね。

子どもが「できていること」を褒めてあげる

次に、親子関係を良好に保つことを心がけましょう。

これまで私が見てきた教え子の中には、お父さんやお母さんがいつも「勉強しろ」と言うのがわずらわしく、「自分が勉強を頑張ると親は喜ぶ。でも、親に喜ばれると自分が負けたように感じて腹立たしいから、勉強したくない」と言う子もいました。

自分が好きな人や尊敬する人から「こうするといいよ」と勧められれば「やってみよう」という気になりますが、嫌いな人から同じことを言われると、理屈ではそれが正しいとわかっていても、やりたくなくなる――これは大人も子どもも共通の感情ですよね。

「子どもの悪いところを直してあげなきゃ……」といった気持ちが強くて、ついつい子どもができていないところを指摘しがちなお父さんやお母さんもご注意ください。「いつも粗探しをして怒るから嫌い」と思われてしまうかもしれません。

また、親ではなく、できていない自分が嫌いになって、自信を失ってしまう場合もあります。どちらに転んでも、やる気を出すためにはよくありません。

関係性をよくするためには、できていないところの指摘よりも、できているところを認めて褒めることを意識するほうがよいでしょう。

親子の関係性を良好に維持したうえで、「あなたはこういう目標を目指すとよいと思う」といったアドバイスをすると、子どもはそれを受け入れやすくなるでしょう。