初めてのビジネスで売却に成功した理由
この店を開店してから、僕は毎日、お客さんのフリをして店に通うことにしました。さすがに料金は払いませんが、ポイントカードも作りましたし、一緒に遊んだお客さんと、「この店、どうですか、最近?」みたいな話をして、改善点などのアドバイスを聞いていました。
店長には、お客さんがボードゲームに水をこぼしたら「ありがとうございます」と言って拭きに行ってくださいね……と指示をするなど、日々、経営者として現場の仕事もしていました。
お客さんはみんな、僕のことを客だと思っていたようですが、毎日、店に通っているうちに正体がバレました。初めてやったゲームで、いきなりトップを取ったりしていたからです。
ボードゲームには「運寄り」と「プロ寄り」があって、プロ寄りのゲームは経験者でなければ絶対に勝てないと、みんながわかっています。そこに僕が入っていきなりトップを取ったりするから、「ちょっとおかしいな」となったのです。
正体がわかってからも、お客さんたちは「親分」みたいに接してくれたので、店はフレンドリーな雰囲気になって、さらに集客が増えました。
このお店は、コロナが問題になる半年くらい前に、チェーン展開しているボードゲーム店に売却しました。この頃はボードゲームがブームでしたから、メチャメチャ高く売ることができました。
僕にとっては初めて体験したビジネスですが、「ボードゲーム店とは、こういうものだ」という固定観念がなかったからこそ、その店の状況にマッチした経営判断ができたのだと思います。
人が2カ月かけて勉強することを、1日で習得する方法
着眼点③ 「経験しながら学ぶ」から成長が速い
ビジネスで勝ち抜くためには、しっかりと「自分に対する投資」をして、知識や経験を蓄えておくことが重要だと思います。
自分に対する投資には、3つのアプローチがあります。
②大学や専門学校に通って知識を得る。
③自分でビジネスを回しながら知識や経験を積み重ねる。
この3つが、自分の価値を高めていくための現実的な方法だと思います。僕は毎日、③のアプローチを繰り返しています。
先に紹介したボードゲーム店のケースも同様ですが、最初に資金を投入し、経営者として現場に入りながら、売り上げを伸ばす工夫をしつつ、最前線の知識や経験を手に入れています。
最前線の知識や経験を得ることが、そのまま経営者として収益を上げることに直結しているのです。
自分でビジネスを回しながら「自分への投資」に取り組めば、「ビジネスが回る」→「お金になる」→「勉強もできる」→「経験値が付く」というサイクルが生まれます。専門学校や大学で学ぶようなことを日常レベルでマスターできるだけでなく、それをやることが、お金にもなるのです。
僕としては、人が2カ月かけて勉強することを、1日で習得してきたと思っています。猛スピードで幅広い分野の勉強を凝縮した形で続けていると、知識や経験は雪だるま式に増えますから、そこから次のビジネスのヒントが生まれて来るのです。山投資や不動産投資も、こうしたサイクルから生まれています。
自分への投資というと、どこかで勉強してからとか、資格を取ってからと思いがちですが、それでは時間とお金が掛かり過ぎます。それがムダとは思いませんが、もっと効率のいい方法があるということです。
僕のようなアプローチは極端なケースと思うかもしれませんが、実は、誰にでもできることです。
それは実際に「やるか」、「やらないか」の違いであり、そうした視点を「持てるか」、「持てないか」の問題なのです。
最も大切なことは、今の自分のレベルに見合った「自分への投資」をするのではなく、「ひとつ上の自分になるためには、どんな投資が必要なのか?」を冷静に見極めて、素早く実践することです。
ビジネスのヒントは、その先に見えてくるのです。