放射性物質測定の4象限とは

奥 真也●会津大学先端情報科学研究センター教授。1962年大阪府生まれ。府立北野高校、東京大学医学部医学科卒。東大病院放射線科に入局後、埼玉医大放射線科、東大病院22世紀医療センター准教授を経て、2009年から福島県の会津大学先端情報科学研究センター教授。医師、医学博士、放射線科専門医、経営学修士(MBA)。研究室のサイトでブログを執筆中。
http://caist.am/future/

前回(>>記事はこちら)、放射線問題では、「自分で決める」ことが尊重されるべきと書きました。そのためには、客観的な情報を手に入れることが大切です。必要な情報は主にI.科学的事実と、II.実際の状況に関する情報です。しかし、放射線問題では、この二つともなかなか容易に入手できません。

I.科学的事実には、低線量放射線被ばくが人体に与える影響や発がんメカニズム、自然界や体内における放射性物質の推移の様子などがその範囲に入ります。この点については別の回に詳しく述べることにしたいと思います。

II.実際の状況を把握する重要な方法の一つとして、「計測し、実際の値を知ること」があります。測定対象の放射線量率や放射性物質量は、内部被ばくに関するものと外部被ばくに関するものに大別されます。もちろん両者は相互に関係し、一方の測定値に他方の影響が入り込みますので、クリアカットに厳密な分類ができるものではありません。知識の整理のために、測定に関する分類を示します。外部被ばく、内部被ばくの別、測定対象によって4象限にまとめられます。

<測定の4象限>