「ボリューム重視」の流行には乗らないワケ
最近は静岡県に本店を置くハンバーグチェーンに代表されるように、ボリューム重視のハンバーグが人気だ。そうした形にあえてしないのには理由がある。
今では札幌市に本部がある「びっくりドンキー」の前身は「ハンバーガーとサラダの店・べる」という店名で、1968年12月に岩手県盛岡市で誕生した。当時はハンバーガー店だった。
その後、マクドナルドの日本上陸(1971年)以降、主力メニューを「ハンバーガーからハンバーグランチに変えていった」のだという。今でも盛岡の店だけは「ハンバーグレストラン ベル大通り店」の名称で営業する。
「そうした経緯があり、ハンバーガーを分解して、パンをご飯に変えて、一つの皿に盛ったのが『ハンバーグディッシュ』なんです」(広報担当の渡邊大介さん)
「あの形の肉はハンバーガーが原点」だったのだ。ちなみに学生時代を盛岡市で過ごした渡邊さんは、お客として「ベル」に通っていた。
「最近はボリュームのある手ごねハンバーグも人気ですが、うちでは箸で切れやすい点が好評いただいています。ナイフとフォークも用意していますが、多くのお客さまが箸を使われます」(同)
和風味のソース、器に盛ってあり、箸で食べるなども競合とは少し違う。「日本人がハンバーグを好むのはご飯が進むから」(堀さん)という話の通り、和食のハンバーグという一面も持つようだ。
大きな反響を呼んだ「満喫セット」
2021年11月25日~2022年1月25日には「満喫セット」という期間限定のイベントも実施した。メニューの中から好きな商品を組み合わせて、自分なりのコース料理が楽しめるものだ。次の4段階で注文可能なメニューの中から選ぶことができた。
ステップ1 ハンバーグの種類、150g or 300gを選ぶ
ステップ2 スープ or みそ汁を選ぶ
ステップ3 ドリンクを選ぶ
ステップ4 デザート or アラカルトを選ぶ
この4つの組み合わせで、その日に食べたいオリジナルメニューが注文できた。
メニューの組み合わせは約150通りになり、選んだ内容で価格も変わる。それでもコース価格は約1400円~約2000円と、かなりお得なキャンペーンだ。
「こんなご時世ですが、お客さまに楽しんでいただきたいと今回も行いました。もともと創業50周年(1968年12月15日)を記念して2018年から始めた企画ですが、大きな反響を呼び、今回で4年連続の実施でした」
広報の渡邊さんはこう説明する。
飲食店での楽しみのひとつが「選ぶ楽しさ」だ。最初から注文が決まっている人以外は、メニューを開いて「何を食べようか?」と思案する。それに応えた企画だろう。