ハンバーグ専門店の中には、ボリュームのある大きなハンバーグを看板商品にしている店もある。だが、ハンバーグチェーン「びっくりドンキー」はあえて作っていない。なぜそうしたスタイルなのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんが運営会社のアレフに聞いた――。
びっくりドンキー 小田原店
びっくりドンキー 小田原店(写真=I.y/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

11月下旬~1月に行われた恒例イベント

「コロナが落ち着いたら、ゆっくり外で食事をしたい」

2020年以降、こんな声を耳にしてきたが、消費者は状況を見据えて利用しているようだ。

現在はオミクロン株の拡大で自重ムードだが、新規感染者が減り、緊急事態宣言が解除された昨年10月~11月、今年1月までは多くの外食店がにぎわった。

そのうち今回はハンバーグチェーンの「びっくりドンキー」(本社:北海道札幌市)を取り上げたい。びっくりドンキーは「2020 年度JCSI(日本版顧客満足度指数)」で、はじめて飲食業界の1位を獲得。顧客の支持が高まっている。翌年度は餃子の王将とサイゼリヤに1位の座を明け渡したが、顧客のロイヤルティーの高さは業界屈指だ。

その秘訣はどこにあるのか。運営するアレフにサービスの裏側を聞いた。

肉、ごはん、サラダが絶対に混ざらない工夫

「びっくりドンキー」の最大の特徴はハンバーグに特化していることだ。

料理は1つの皿にライスやサラダを盛り合わせた「ワンプレート」で提供される。鉄板も用意しているが、注文数は少なく、常連客ほどワンプレートで注文するという。

盛りつけも標準化されており、肉やごはん、サラダは決まった場所に配置。例えばチーズバーグディッシュのチーズなどのトッピングは、その上に盛りつけられる。

そのワンプレートのディッシュ皿は、一緒に盛られた肉、ごはん、サラダが混ざらないように工夫されているという。

「お皿を触ってみると分かるのですが、まっ平らではなく真ん中が盛り上がっています。ハンバーグ側にソースが逃げていく構造になっているのです」(西日本店舗運営部部長の堀雅徳さん)

前述した焼き方の規定は、現在は正確に時間を測る。338店には直営店(130店)とFC(フランチャイズチェーン)店(208店)があるが、どの店でも同じやり方だ。

また、ハンバーグソースはしょうゆベースの1種類のみ。

「このソースのレシピは厳格に管理されており、社内でも数人にしか明らかにされていません。秘伝の味なのです」(東日本店舗運営部部長の井口純一さん)