電通コピーライターによる添削「面接官の目にとまる志望動機文」

志望動機

最後に志望動機は、その会社に入って「何をやりたいのか」を表現するものです。よく「自分がやってきたことにつなげて志望動機を書けばいい」という説を目にします。

例えばこういう文章。

私はラグビー部の主将をつとめ、自分が得点を取るのではなく、「いかに気持ち良くパスを通して味方に得点をしてもらうか」を考え続け、大会で優勝しました。御社は人と社会の間でパスを通している会社です。私は御社で私なりの「パス」を通し続け、人と社会を元気にしたいと思い志望いたしました。

確かに、悪くはありません。自分の経験と企業の特性をつなげて表現がなされています。しかし、せいぜい20点というところでしょう。この文章にはある視点が決定的に欠けています。それは「なぜ、あなたのやりたいことがお金になるのか」です。

言うまでもなく企業は営利団体なので、利益を出して給料を払います。自分の給料がどうやって出ているのか? に無頓着な社員は一部の天才を除いて企業の頭痛の種だったりします。

とある会社の役員は「世の中に良いことをしたい」と言って志望してくる学生は採用しないと明言していました。ほとんどの場合、そういう学生にはビジネスで稼ぐ視点が欠落しているから、だそうです。あなたはこれから企業人になるのですから、日本人にありがちな「お金の話を避ける」のではなく「稼ぐこと」を意識しなければなりません。

ですので、志望動機には必ず「ビジネス視点」を盛り込んでください。

泥だらけになってラグビーをする人
写真=iStock.com/South_agency
※写真はイメージです

例えば、前述の志望動機を改良するならこうなります。

私はラグビー部の主将をつとめ、自分が得点を取るのではなく、「いかに気持ち良くパスを通して味方に得点をしてもらうか」を考え続け、チーム全体をマネジメントし、大会で優勝しました。御社は人と社会の間でパスを通しマネジメントをしている会社だと私は理解しております。

もし叶うなら私はラグビーを起点にした老若男女が参加できる新しいスポーツイベントの創設に関わり、それに地域経済をかけ合わせ活性化させるようなPRに取り組み、好循環を生み出したいです。そうやって通した「パス」がいずれ日本のレガシーとなり、御社のレガシーになると思い志望いたしました。

どうでしょうか。まず「その会社を自分としてどういう存在だと捉えたか」という視点があり、さらに自分と会社との接点において「ビジネスとしてやりたいこと」が具体的に入ると、面接する側も入社後のイメージがグッと湧きますよね。そしてここから「じゃあ具体的にどういうイベント? PR?」「もしやりたいことができなかったらどうするの?」といった質問が展開されるでしょう。

そういった想定問答をクリアにしてつぶしていくためにもOB訪問を行ってください。繰り返しますが、OB訪問はあなたから問いかけて、OBに反応をもらう場です。きちんと準備して臨みましょう。いい反応は、いい問いかけによって得られるのです。