ウクライナはドイツとフランスに頼りたいが…
ウクライナのゼレンスキー大統領は、どうすれば大規模な戦争を回避できるでしょうか。
今の彼のスタンスは、「アメリカと距離を取り、ドイツ、フランスとともに、ロシアとの妥協点を見つける」ことに注力しているように見えます。
現に、ゼレンスキー大統領は、ミンスク合意の当事国である、ドイツ、フランスとの話し合いを続けています。
また、「戦争を煽っている」というニュアンスで、バイデン大統領を批判しています。
ただ、ドイツ、フランスは本当に頼りになるでしょうか。
NATO諸国は、国防費をGDP対比2%とする目標を課されています。
それを達成しているのは、全30の加盟国中、僅か11カ国のみで、参加国全体の3分の1程度に過ぎません。
アメリカは全NATO加盟国の中で唯一3%以上を拠出していますが、その一方、NATOの中心国であるドイツの2020年の国防費のGDP対比は1.56%に過ぎません。
また、天然ガスを握られているドイツは、ロシアに対して完全に腰が引けています。
プーチン大統領の思惑通りに交渉が進む可能性が高い
2月24日、ドイツ軍首脳は、「ドイツ軍は、“more or less powerless”(どちらかと言うと無力)」であり、NATO軍をサポートする力は非常に限定的だと表明しています。
NATO軍と言ってもアメリカ主導であり、しかも足並みは揃っていません。まだ加盟国ですらないウクライナの為に、ロシアと戦うつもりはサラサラないのは当たり前の話です。
ウクライナにとっての「最重要課題」は、あくまでロシアとどうやって話をつけるかです。
ゼレンスキー大統領は、腰の引けたドイツとフランスを頼りにしていますが、その姿勢でロシアとの交渉をまとめられるのかといえば、疑わしいと言わざるを得ません。
ロシアの優勢状態は続き、プーチン大統領の思惑通りに、交渉が進む可能性が高いでしょう。
国際社会にとって、クリミア危機などの「教訓」がありますので、ロシアとウクライナ間の問題について、「口は出しても手は出さない」というスタンスで臨むと考えられます。
この状況にどう対応するかは、今後の世界情勢を占う上で、とても重要な教訓となるでしょう。