やがて「廃墟マンション」問題が噴出する
住宅に関しては、マンションの老朽化も問題になっています。
日本では地方から都市への人口流入が続き、都市での居住場所としてマンションが大量に供給されてきました。今後はこれらのマンションの老朽化が進むことが見込まれています。
国土交通省によると、2019年末時点で、築30年以上のマンションは全国で約213万戸存在していますが、2029年には1.8倍の384万戸、2039年には2.7倍の570万戸に増加すると予想されています。
マンションの老朽化に伴うのが大規模修繕工事の問題です。分譲マンションでは定期的に外壁や屋上、共有部などを修復する大規模修繕工事を実施するのが一般的です。マンション建設後、適切な維持管理や修繕がなされていない場合、安全性の低下や居住環境の悪化のみならず、周辺の住環境の悪化や地価の押し下げなどの問題が発生する可能性もあります。
今後は、築後長い年月が経過した多くのマンションで大規模な修繕が必要となりますが、そのための資金不足が懸念されています。国土交通省の調べでは、修繕積立金が計画よりも不足しているマンションは全体の約35%となっています。
築後長年を経過したマンションでは、居住者が高齢化していることもあり、修繕積立金の不足を解消することが困難になりつつあるという厳しい現状があります。