証拠と質問の組み合わせも効果的

自分が住んでいる町の住民会で、近隣の道路の渋滞緩和の施策について意見交換している場面を想定します。

Step1 「確かに、●●さんの、“住民の安全を考えた場合、渋滞を緩和するために道路を建設すべき”という主張は非常によくわかります」
Step2 「渋滞緩和の対策を行うことは大賛成なのですが、その上で、道路建設についてのみ、私は別の考えがあります」
Step3 「住民の安全性を考えるならば、いきなり道路を建設するよりも、たとえば、子どもたちの通学時間帯のみ交通規制を行うといった対策はどうでしょうか」
Step4 「というのも、実は道路建設は中長期的には通勤圏が広がり住宅開発が進んで、結果的には交通量が増えてしまうという他県のデータがあるのです」

なお、相手が非常に頑固な性格で、これらのフレーズすらも拒絶反応を起こすような人であれば、Step4で提示した「事実」をStep1の直後に伝え、あえて質問形式で相手の意見を再度求めるのも効果的です。

例えば、「あなたのご意見は非常によくわかります(Step1)。その上で、この事実(データ)についてはどう思われますか?」のような伝え方です。

最後に、この話の組み立て方をより効果的に用いる際のポイントについてまとめておきます。

「いかに相手に聞く耳を持ってもらえるか」が最重要

組み立て方のポイントを一言でいうと、「自分の反対意見に対して、いかに相手が納得してくれる理由や根拠を示せるか」です。つまり、前述のStep4において、いかに自身の主張(反対意見)を下支えする証拠となる事実を用意できるかがカギです。

裏を返せば、相手に反論や異論を唱えても、それを下支えする証拠や事実が乏しければ、相手を納得させることができず、自分の反対意見が通らない可能性が出てきます。

犬塚壮志『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)
犬塚壮志『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)

そのためにも、まずは、相手が納得せざるを得ない証拠を事前にしっかりと集めておくことが肝となります。

反対意見を伝える際に最も重要なことは「いかに相手に聞く耳を持ってもらえるか」です。どんなに素晴らしい反論も相手が聞いてくれなければ意味がないからです。

聞く耳を持ってもらえないと、どんなに正しい意見を伝えても、どんなに強固なエビデンスを提示しても、コミュニケーションは成立しなくなります。

聞く耳を持ってもらい、相手とぶつからない話の組み立てで、「反対意見」をぜひ伝えてみてください。

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