また、独立後は、コンサルティング業務も行うようになったのですが、明らかに間違っていること、特にクライアントにとってリスクがあったり、倫理的に誤っていたりすることに対して、ど直球に反対意見を伝えていました。
正しいことを伝えることがコンサルタントとしての自分の職務だと思っていたからです。
ただ、正論をそのまま相手に突きつけても、しかめっ面になって腕を組んでふんぞりかえったり、急に不機嫌になってヘソを曲げてしまったりすることもしばしばありました。
場合によっては、それがきっかけでクライアントとの関係がギクシャクして、契約そのものを打ち切られたこともありました。
正論を伝えるだけでは逆効果
「自分は正しいことを伝えただけなのに……」、「誠実な対応をしたつもりなのに……」、そう思っても後の祭りでした。独立して間もない私にとって、クライアントを1つ失ったことは大きな打撃でした。
自分に置き換えて考えるとわかるかもしれませんが、確かに自信や確信を持って提示した自分の意見を、「それ、違うんですよ」「その考え方は間違っていて、……」のような言われ方をすると、自分のすべてを否定されたような気になってしまい、正しいことを言われても受け入れたくないという感情が湧いてきます。
自分の得意領域に関わることであれば、プロとして自負の念があり、反対意見に対しては感情的になってしまいます。
相手には相手の理屈があります。その中で、いかに誤った考えを修正できるかは、伝え方に工夫が必要なのだと身をもって知りました。
こういった失敗経験から、周囲とぶつかることなく成果をあげているビジネスパーソンを徹底的に分析しました。
特に、相手と意見が合っていないにも関わらず自身の意見をスムーズに通している人の伝え方から、その話の組み立て方のパターンを抽出したのです。
仕事ができる人が実践している「話の組み立て方」
抽出したパターンというのが、以下の4つのステップで組み立てるものです。
Step2 相手の意見や主張の「全体」ではなく、その「一部」に別の考えを自分は持っていることを示唆する
Step3 反対意見を提示する
Step4 反対意見の理由を述べる
このステップで話を組み立てることで、相手の主張を覆す証拠や根拠を武器にしながら、相手と大きな衝突なしに正当な反論を行うときに重宝します。具体的に各ステップを説明していきましょう。