タイミング悪く重なったメタの決算

その状況下、メタの決算が投資家を失望させた。過度に先行きに強気になった多くの投資家が、米金利の上昇とメタの事業内容が想定よりも悪かったことに慌てふためいた。“コントロールの欠如”というにふさわしい事態が起きた。自信を失った投資家がわれ先にメタ株を売った。それが、さらなる売りを誘った。その結果として1日で27兆円もの時価総額が吹き飛んだ。逆に言えば、1月のFOMCの後も先行きを楽観する投資家はかなり多かったといえる。メタ株急落の意味は重い。

データ分析グラフ
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FRBの金融政策の転換の詳細が明らかになるにつれて、メタへの期待、楽観はさらに剥落するだろう。特に、流動性吸収のインパクトは大きい。前回2017年10月のバランスシート縮小が始まる前、FRBの保有資産残高はピークで約4.5兆ドルだった。足許、資産残高は倍増し約9兆ドルだ。

パウエル議長は流動性吸収が前回よりも早期かつ急速に進む可能性を示した。世界のサプライチェーン寸断やエネルギー、穀物などコモディティー価格の上昇などによって世界的に物価が一段と上昇するリスクは高まっている。米国以外の中央銀行も利上げに着手している。

メタが再浮上する可能性はあるのか

巨額のマネー供給が膨張させた投資家の過度な楽観は崩れる可能性が高まっている。それによって、メタへの売り圧力は強まるだろう。特に、ユーザー減少は深刻だ。メタはSNSのフェイスブックを運営する。ユーザーは静止画などを投稿し、他人とつながる。メタはデータ(ビッグデータ)を獲得し、それを活用することで広告収入を得る。ユーザー増加が、メタの成長に不可欠だ。

しかし、動画をシェアするTikTokの急成長などSNS業界の競争は激化している。メタの個人情報保護体制にも不安がある。依然として、フェイクニュースやヘイトスピーチ摘発への取り組みは十分ではない。米欧では個人情報への保護が強化されIT先端企業への規制が強まる。

世界的に、メタバース分野の成長を目指して拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの専門家人材の争奪戦も起きている。メタが技術開発を加速させつつ規制にしっかりと対応できるか不確定な要素は多い。どのような成長戦略を提示して多様なステークホルダーからの信頼を獲得するか、メタの実力が試される。