※本稿は、熊谷はるか『JK、インドで常識ぶっ壊される』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
日本製みたいにうまく開けられないヨーグルト
インドに住んでいると言うと、大抵まず聞かれるのは食事のことだ。インドに引っ越すとまわりに告げたときも、いちばんに心配されたのは食生活だった。
「毎日カレーしか食べられないの?」
「家でもカレー食べるの?」
だが、そんなひとたち全員に言いたい。
インドに住んでるからって、毎日カレーじゃないよ‼‼
カレーを食べるのは1週間に1回くらい。それ以外は、日本とあまり変わらない食生活だ。
わたしの典型的な食事は、こんな感じだ。
朝は、ヨーグルトとたくさんのフルーツ。ヨーグルトは、インドでは「ダヒ(Dahi)」と呼ばれていて、現地人はカレーに入れたり、揚げ物のディップに使ったり、日本でも有名なラッシーのように飲み物にしたり、と意外にもインド料理において重要な食材のひとつだ。牛乳を発酵させて自家製ダヒを作るひとたちもいるが、お店でも売っている。
ただ、この市販のダヒの難点は、パックのふたが異常に開けにくいこと。日本のヨーグルトと同じように剝がして開けるタイプなのだが、その「剝がし」がうまくいかず、必ず途中でちぎれてしまったり、変に曲がって開いてしまったりするのだ。日本のヨーグルトのように、中身がフタにつかない! というイノベーションのレベルには到底達していない。だから、朝起きてヨーグルトがうまく開けられた日は、それだけで特別ラッキーな気分になれる。
マンゴーはインドの猛暑を乗り切るために欠かせない
フルーツは、意外にもインドに来てからのほうがよく食べるようになった。日本とくらべて圧倒的に安いのにくわえて、インドは「フルーツ大国」と言っていいくらい、年間を通して種類が豊富なのだ。イチジクやザクロなど、日本では珍しいフルーツに出会うのも楽しかった。
そのなかでもわたしがハマったのは、インドを象徴するくだもの、マンゴーだ。3月の終わりに気温が30度を超え始めると、「もうすぐマンゴーの季節だな」とワクワクし始め、4月の終わりに、ゴールデンシャワーという小さな黄色い花があたりの木を染め始めたら、いよいよマンゴーも旬だ。