わかりやすい説明に欠かせない“あるもの”

第3のK=「共感を得る」ためには、プレゼンにあたって「何をどのような切り口で話すか」をよく考えなければなりません。

どんな政策にも1丁目1番地の論点、主要な論点があります。

政策について理解を得るためには、そうした主要論点をしっかり掘り下げて説明しなければなりません。そのため、多くの人が自分の議論を補強するためイラストや概略図を使ったり、関連する数字を紹介したりしていることと思います。

特に、数字を使うことは、物事のスケール感を理解してもらう上で効果的です。さらに、単に数字を示すだけでなく、その数字を印象付けるための表現をちょっと工夫するだけでグッと効果が上がります。

木製テーブルにカラフルな数字
写真=iStock.com/Hanasaki
※写真はイメージです

数字を使った「ちょっとした工夫」の実例

例えば、中国の軍事力建設のペースについて「水上艦艇も潜水艦も毎年2~3隻ずつ、最新鋭戦闘機は年に30機ずつ調達している」と紹介するのは事実関係の説明です。

黒江哲郎『防衛事務次官 冷や汗日記』(朝日新書)
黒江哲郎『防衛事務次官 冷や汗日記』(朝日新書)

これに「自衛隊の場合、艦艇や潜水艦は年に1隻ずつ、第5世代戦闘機は年に数機ずつが精一杯」と付け足すと、中国の増強ペースがいかに速いかを理解してもらいやすくなります。

同様に、中国の人口を「約14億人」というのは事実関係ですが、「世界の5人に1人は中国人」と紹介するとスケール感がさらによくわかります。

また、自衛隊のスクランブルについて「年に1千件を超える」というのは単なる事実関係ですが、「単純平均でも毎日3回は国籍不明機に対応していることになる」と紹介すれば、その頻度を実感しやすくなります。

こうしたちょっとした工夫が、インパクトのある説明につながるのです。

「なぜこの案件を進める必要があるのか」

同時に、説明が細部に入り込み過ぎて「木を見て森を見ない」ような議論に迷い込まないよう注意することも大事です。

そうなりそうな時には、「そもそも何故この案件を進めなければならないのか」というような切り口を提示して、大局的な議論に立ち戻るように促すことが有益です。

【関連記事】
「ほぼ100%の人が目を覚ます」タクシー運転手が酔った客を起こすときに使う"奥の手"
「最近どう?」この問いにどう返すか…頭の悪い人がやりがちな雑談トークの失敗例
「偏差値日本一の医学生が陸上で大学日本一」東京大医学部6年生の"すごい時間術"
真面目な人ほど心をすり減らす…「職場で心を病む人」に共通する"ある思考法"
「人事部にはあらゆる陰口が集まってくる」業績は高いが評価されない人に欠けている"ある観点"